国の特別保護区に指定へ/与那覇湾
ラムサール登録に前進
下地与那覇湾が国の特別保護地区に指定されることが22日までに分かった。11月1日に環境省が水面部分約700㌶(図参照。久松、川満両漁港内を除く斜線部分)を指定する。この指定で与那覇湾の特別保護地区は2012年5月にルーマニアで予定されている「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)の締約国会議で同条約への登録に大きく前進した。
中央環境審議会野生生物部会(山岸哲部会長)が9月8日に与那覇湾とその周辺、池間島全域を国指定の鳥獣保護区にすべきとの答申を出した。ラムサール条約への登録は、国指定の特別保護地区であることが条件となっている。
与那覇湾とその周辺の鳥獣保護区および特別保護地区と、池間島全域の指定存続期間は11月1日から31年10月31日までの20年。
与那覇湾の鳥獣保護区の面積は特別保護地区の704㌶を含む1366㌶。池間島は全域が保護区に編入される。
環境省は2009年2月からラムサール条約湿地潜在候補の選定をはじめ同年9月に潜在候補地を公表した。那覇自然環境事務所は11年1月に市のみどり推進課をはじめ、観光課、エコアイランド推進課など関係課に対する説明会を開いた。
宮古島市は7月6~19日までの2週間、与那覇湾、池間島の鳥獣保護区指定について公告の縦覧を行った。この縦覧期間中に指定に反対する意見は寄せられず、下地敏彦市長は7月29日、江田五月前環境相あてに、与那覇湾とその周辺、池間島の鳥獣保護区指定について賛意を示す文書を送付した。
8月10日に両地区の保護区指定に関する公聴会が開かれた。出席した市、漁協、観光協会など関係団体の代表から反対意見はなく、全員が賛成した。
ラムサール条約登録候補地選定で、与那覇湾は環境省のモニタリングサイト1000のシギチドリ類調査で、過去5年のうち3年以上メダイチドリ(チドリ科)の個体数の1%以上を定期的に支えているとの国際基準を満たした。
ラムサール条約 1971年にイランのラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」で「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が採択された。開催地にちなみ「ラムサール条約」と呼ばれる。日本は80年に締約国になった。