TPP 県内29団体が反対/「特別決議」を採択
JA呼び掛け緊急会議
【那覇支社】野田佳彦首相が10月28日の所信表明演説で、日本が環太平洋連携協定(TPP)の交渉に参加するニュアンスの発言をしたことなどを受け、JA沖縄中央会(小那覇安優会長)は31日、「TPP対策緊急合同会議」を呼び掛けて開催した。緊急会議には同協定交渉の参加に反対する県内団体の代表らが出席。全会一致で同協定参加に反対する特別決議を採択し可決した。
同会議は非公開で行われた。JA関係者によると、TPPをめぐる情勢と今後の対応について小那覇会長から説明があり、消費者を代表して県生活協同組合連合会の東條渥子会長が、TPP締結で日本の食の安全・安心が失われることを訴え、反対の意思を表明した。
また、県医師会の小渡敬副会長は、TPPに参加した場合、公的保険診療と保険外診療の制限が無くなる可能性があり、高額で利益率の高い保険外診療が拡大することによって、これまでの医療保険制度が崩れかねないことを指摘。医療費高騰と医療格差を生じかねないことを説明し、同会も反対する決意を示した。このほか、県町村会(会長・城間俊安南風原町長)など自治体関係団体からの反対表明があった。
同決議文では、今月12日に開かれるAPEC首脳会議で、同協定交渉が加速することを懸念。協定は農業のみならず医療、保険、政府調達、労働市場、食品の安全性など24分野に影響を与える問題であることを指摘し、「地域に与える影響を軽視し交渉参加に突き進む流れに強く反対する」とした上で、県民、関係団体が一体となって反対運動に取り組むことを決議した。
合同会議後、会見した小那覇会長は「TPPでわが国そのものが根底から崩壊する。沖縄のサトウキビや畜産は確実につぶれる」と強く指摘し、同協定への政府対応を批判した上で、徹底して反対する構えであることを表明した。
小那覇会長と仲井真弘多知事は1日にも上京し、首相官邸、農水省、経産省、外務省を訪れ、国内甘味資源作物の生産対策と併せてTPP交渉に反対する要請行動を展開する予定だ。
TPP 環太平洋連携協定の略。米国、オーストラリア、シンガポールなど太平洋を取り巻く9カ国が交渉中の自由貿易協定。関税の原則撤廃を目標とするモノの貿易自由化に加え、サービス、政府調達、知的財産権など幅広い分野での自由化を目指している。9カ国は11月12日にハワイで開催するアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までの大枠合意を目指している。
日本は貿易自由化で農業に大きな影響を受けることが想定され、農業関係団体を中心に反対論が根強い。