油流出想定 フェンス設ける/海保と石油連盟
離島初の合同防災訓練
大型客船(2万7000㌧)が平良港着岸時に岸壁に接触、乗組員2人が海に投げ出され、大量の燃料油が流れ出したとの想定で第11管区海上保安本部と、石油連盟の離島では初の合同防災訓練が18日、平良港下崎埠頭で行われた。同保安本部に配備されている巡視船「くだか(1200㌧)」を事故船に見立てて実施した。訓練には海保の署員ほか市消防本部や宮古島警察署などから約70人が参加し、ヘリコプターによる海中転落者の救助や、流出油の拡散を防ぐためのオイルフェンスの展開訓練が行われた。
この訓練には石油連盟6号沖縄基地(平安座島)に常備されているオイルフェンスなどを初めて使用し、流出相定量約20㌔㍑(ドラム缶100本相当)の燃料油の拡散状態を航空機で確認し、タグボートでオイルフェンス約100㍍を海上に展開した。
フェンスで囲まれた流出油の回収はデスミ・コンビネーション・スキマーと呼ばれ、遠隔装置で操作できる回収装置を用いて訓練を実施した。
海中に投げ出された乗組員の救助は同本部のヘリコプター「ほしずな」と海保の潜水士5人が救助訓練を行った。
訓練の冒頭、第11管区海上保安本部の眞嶋洋本部長は「離島が多い沖縄では国、自治体、地域の人たちが共通の高い認識を持って防災に当たることが大切。災害時に関係機関と連携し、人命や油流出などの事故対応をすることが必要」と述べた。
訓練終了後、宮古地区海上防災対策協議会の会長を務める、宮古島海上保安署の栗谷美則署長は「発災時には持てる人員と資機材で初期対応に臨まなければ拡散が起こる。被害を最小限に食い止めるためにも関係機関に協力をお願いしたい」とあいさつした。
訓練を見学した下里幸江さん(45)=平良=は「広い海でどのように対応するのか興味があった。訓練は初めて見たが、大切な訓練だという強い印象を持った」と感想を述べた。