市、滞納賃料求め提訴/平良港下崎の市有地
造船2業者に3750万円請求
平良港下崎地区の市有地賃貸借における多額の賃貸料滞納問題で、宮古島市は26日までに、この市有地を借りている造船2業者に対し、滞納分の計約3750万円の支払いと市有地からの立ち退きを求めて那覇地裁平良支部に提訴した。ただ、同問題では督促状送付の手続きを怠った市側の対応のまずさも指摘されており、滞納額の全額は回収できない可能性もある。提訴は今月6日付。
提訴した市側の説明によると、約3693平方㍍を借りている業者は1996年ごろから月額約11万円の賃貸料を支払わず、2011年9月までの滞納額は約1910万円に膨らんでいるという。
約3170平方㍍を借りている別の業者は月額約9万5000円の賃貸料の支払いが1994年ごろから滞り始め、2011年9月までの滞納額は約1840万円となっている。
担当の市港湾課は、両業者に滞納額の支払いを求め続けてきたが、数カ月分は徴収できても全額回収には至らなかった。ただ、市は督促状の送付という法的に必要な手続きを10年以上も取らず、2010年度に1度送付しただけだった。
この対応によって滞納賃料の全額を回収できない可能性がある。民法や地方自治法上の消滅時効で債権の効力が問われるからだ。
港湾課は「(督促状を1度しか送付していなかったことは)事実としてあるが市としては滞納額の全額回収を求める。今後は司法判断に任せたい」とした。
下地敏彦市長は26日、本紙取材に「不納欠損が発生するかもしれないが、できるだけ全額の回収に努めていく」と話すとともに、裁判の結果に従って対応する姿勢を示した。