「宮古の自然は沖縄の宝」講演会/移動展関連イベント
固有性の高い動物多い
県立博物館・美術館の学芸員による講演会が4日、市総合博物館で行われ、田中聡さんが「宮古の自然は沖縄の宝」と題し講話した。田中さんは宮古島だけに生息しているミヤコヒキガエルやミヤコサワガニなどの特徴を紹介し「宮古島には極めて固有性の高い動物が見られる。緑をこれ以上減少させずに宮古の宝を守っていこう」と呼び掛けた。
3日に開幕した同館移動展の関連イベントで、市民ら約50人が耳を傾けた。
田中さんはミヤコヒキガエルについて、上野のピンザアブで発掘された化石の中から発見されたことを紹介。「以前は、アジアヒキガエルの亜種で、人為的に持ち込まれたと思われていたが、在来種であることが確定された」と説明した。
同じくピンザアブで発掘されたミヤコノロジカの化石については、草原や森の中で生息する他の動物たちの体長や特徴などを紹介し「ミヤコノロジカは高さが115㌢を超える。このことから、きっと草原で暮らしていたはず。宮古には昔、広い草原があったと空想できる」と持論を展開した。
ミヤコヒキガエルは「なぜ、宮古にだけ生息しているのかはなぞ」としながらも「ミヤコヒキガエル見学ツアーや(繁殖期に雌をめぐって雄が池に集まる)がま合戦をPRしても面白い」と提言した。
田中さんは、昔はよく見られたが現在は絶滅の危機にある生物が多いことを懸念。自然破壊や密猟、外来生物などがさらに追い打ちを掛けていると指摘した。
「宮古島は緑がほとんど残っていない。宝(生物)が生き残っていくためのぎりぎりの状況」と田中さん。「緑をこれ以上減少させないことや水を必要とする生物には水場を創出してやれば増やすことはできる」と述べ、人間との共生を訴えた。
同イベントはきょう5日も同会場で「沖縄の玉製品調査の概要報告」と題し早瀬千明さんが講演する。時間は午後3時から。