被告側、口頭弁論に姿現さず/アトール前事故賠償請求訴訟
次回欠席の場合は結審
2008年にホテルアトールエメラルド宮古島前で軽自動車と2人乗りオートバイが衝突した死亡事故に関する損害賠償請求訴訟の第1回口頭弁論が6日、那覇地方裁判所平良支部で開かれた。しかし、被告側は誰も法定に姿を現さずこの日は原告側に対する陳述書の提出期限や次回以降の日程について確認。次回は3月19日に弁論準備手続きを行い、そのときも被告側が今回と同じように法廷に現れない場合は結審することとなり後日、判決言い渡しとなる。
口頭弁論終了後、原告側の鈴木軌士弁護士は「被告である同乗者のどちらかが弁護士を立てるかもしれないとの話があったが結局きょうもこなかった。今後、相手方が誰も来なければ欠席判決という形になり、賠償額の調整等を行いこちら側の主張がほぼ認められることになると思う」と述べた。
今回の訴訟は、昨年5月にこの事故の控訴審で逆転無罪判決を受けた女性に対して、遺族が計3180万円余の損害賠償を求めて那覇地裁平良支部に提訴。
同7月には被告の女性が請求額の支払いを認めたため、同訴訟は確定し終結した。
しかし、賠償金の支払いがされていないことと、さらに、事故当時誰が運転していたのかという真相が究明されていないことから、遺族は事故当時運転していた可能性が指摘されているこの女性の娘と同乗者2人に対して共同不法行為の責任を追及することを目的に合計3180万円余の損害賠償を求め、昨年末に同支部に提訴していた。
この事故は、2008年11月30日に市平良下里の国道390号で発生し、オートバイの後部座席に乗っていた男子高校生が同月6日に死亡した。
酒気帯びの状態で軽自動車を運転し、男子高校生を死亡させたとして、女性が自動車運転過失致死と道路交通法違反の罪に問われ、一審では懲役3年の実刑判決を受けた。
しかし、女性の弁護側は自動車運転過失致死については「事故当時は同乗していた長女(当時15歳)が運転していた」と無罪を主張。
控訴審判決で福岡高裁那覇支部が弁護側の主張を認め「被告が運転していた事実を推認させる客観的な証拠はなく、同乗者らの供述はいずれも信用できず、合理的な疑いが残る」と判断し、自動車運転過失致死罪について一審の判決を破棄、逆転無罪を言い渡していた。
福岡高検那覇支部はこの判決に対して上告を断念。女性の無罪が確定した。
有罪、無罪または免訴の判決が確定した事件については、刑事訴訟の原則(一事不再理)で再び審理をすることはできない。
上告断念を受け、事故当時誰が運転していたのかが判明されないままとなり、遺族側は民事訴訟で事故の真相究明を求めている。