天然ガス試掘、宮古で実施/12年度
多用途、高度利用に期待
【那覇支社】天然ガス資源有効活用検討委員会(委員長・千住智信琉球大学工学部教授)の第3回会議が13日、那覇市のホテルで開かれ、2011年度に県内で行った「天然ガス資源緊急開発調査事業」の調査結果が報告された。同調査結果を踏まえ、次年度、宮古島市で同ガス資源の試掘を行うことを概ね決定した。県は12年度予算で、同ガス資源の試掘費用を含む「未利用資源・エネルギー活用促進事業」(新規)に14億9743万円を計上した。11年度に沖縄本島、宮古島で実施した調査結果を踏まえ分析を行った上で、試掘地を選定することを明らかにしていた。
同資源はガスエネルギー利用による自給エネルギーの開発のみならず、ガスを採取する際に湧出する付随水などを活用したヨード成分利用の製品開発や温水利用によるスパ(温泉)開発など多目的に応用が可能なことから、その高度利用に大きな期待が寄せられている。
13日の会議には、宮古島市から長濱政治副市長が行政関連オブザーバー委員として出席。「宮古の土壌は調査データからも最適との結果が出ている。エネルギー多様化が一つの島で実証できる利点もある」と述べ、同ガス資源の試掘を宮古島で行うよう強く訴えた。
これに同委員会の芦田譲副委員長(京都大学名誉教授)は、「可能性があるところで基礎データを採るための井戸を掘るべきだ。宮古島に多くの堆積物があることが今回の調査で初めて明らかになった」と述べ、宮古島市が天然ガスの試掘地として適地である趣旨を発言した。
また、県商工労働部の安里肇産業振興統括監は「経済性や採算がとれるかどうかという点では、一度、試掘を行ってみないと分からない。次回検討委員会での意見を踏まえ、試掘地を決定したい」と述べるにとどめたものの、長濱副市長が具体的な場所を決定するよう促したため、安里統括監は宮古島市を試掘の対象地とすることを明言した。