成虫から蛹放飼に変更/ウリミバエ不妊虫
県が再侵入防止で
1987年に宮古圏域での根絶が確認された野生ウリミバエの発生地域からの再侵入防止を目的に、根絶当初から宮古で実施されているウリミバエ不妊虫の放飼方法が、現在の「成虫地上放飼」から「蛹のカゴ放飼」に変更される。県宮古農林水産振興センターの仲宗根盛和所長らが17日、記者会見し説明した。
現在宮古では、冷凍コンテナに入れて冷却麻酔を施した成虫を放飼している。同方法では冷凍コンテナの電気料が高く付き、コンテナも古く故障するケースが多くなったことから、蛹をカゴに入れて羽化させる方法に切り替える。
カゴは今月下旬から3月中旬をめどに、宮古や池間、来間島の190カ所に設置し、4月からカゴによる放飼を行う予定。カゴの大きさは、高さが26㌢、蓋の直径が30㌢。中には小さな器がある。
県病害虫防除技術センター特殊害虫班の久場洋之班長は「カゴを持っていったり、壊したりしないでほしい」と呼び掛けた。
ウリミバエはゴーヤー(方言名・ゴーラ)等のウリ類やマンゴーなどに寄生するハエ。このハエは、農作物に直接被害を与えるだけでなく、1匹でも発生が確認された場合は、ゴーヤーなど寄主植物の未発生地域への移動が法律で禁止または制限されるため、発生すると甚大な被害を被る。実際に、ウリミバエが根絶されるまで、ゴーヤーは沖縄から本土に出荷できなかったという。東南アジアなどでは、発生している。
不妊虫放飼法による根絶の原理 特殊な方法で生産した不妊虫を野生虫より多く野外に放つと、野生虫の雌は不妊虫の雄と交尾し、野生虫の雄と雌の間で交尾する機会が減少する。不妊虫と交尾した野生虫の産む卵はふ化しないので、次世代が育たない。大量の不妊虫を継続的に繰り返し放ち続けると、正常に繁殖できる子孫が次第に減り、最終的には根絶に至る