海中公園 設計見直し/環境調査結果受け
サンゴ群体を一時移植など
下地敏彦市長は23日、海中公園整備事業について、環境調査の結果を踏まえ環境への負荷軽減に努めるよう当初計画の見直しを行ったと発表した。サンゴを守るため、観察施設への入口を海中から陸上に変更することやサンゴ群体の一部を一時移植し保全対策を図る。波の衝撃や海水の侵入を防御するなど安全面もさらに強化した。
環境調査は、市から業務委託を受けた沖縄環境分析センター(浦添市)が3月17日~5月14日まで実施。海浜植生や陸上動物、海草類とサンゴ類の分布状況、改変区域のサンゴ類の分布状況などを調べ、生物の生息環境への影響予測と評価を行った。調査では、海中トンネル設置に伴う環境保全対策と評価として海浜植生と海生生物、中でもサンゴ類の消滅を予測。直接、影響を受けるサンゴ類は約8500群体と推計した。
市はこの調査結果を受け、生物や環境への影響を少なくするため当初予定していた計画を見直した。
具体的には、海中観察施設の入口を海中から陸上に設計を変更するなどして施設の形状変更を行う。
また、施設本体を設置する基礎部分の工事を「壷掘り方式」にし「必要最小限度の工程」に変更する。
調査報告書に影響を受けると記載されたサンゴ類約8500群体については群体の約75%を一時移植して、工事完了後に元に戻す。残り25%のサンゴ群体については「工事によって影響が出る」としている。
サンゴ類に「影響が大きい」とされた観察施設沖合に設置する予定だった水中ライトについては、観察窓の側に設置し影響を少なくする。
安全面については、海水の侵入や石ころなどでの破損を防ぐため、観察窓のガラスの外側と内側を鉄板で防御。観察施設の壁面を斜めにし波の衝撃を和らげる。
計画の見直しによる予算枠の変更について、市海中公園プロジェクト室の仲間利夫室長は「予算の範囲内で実施するので、大きな変動はない」と話した。
海中公園海中観察施設工事は、大米建設・南開建設・国盛建設特定建設工事共同企業体が4億4520万円で市と請負契約を締結。28日に建設場所の狩俣地区で起工式が行われる。