災害時の開示方法で要望/個人情報保護法
下地さんが市長に
就労移行支援事業所「くこりもや」の下地克子所長は23日、市役所平良庁舎に下地敏彦市長を訪ね、災害時に障害者の安否情報などを確認する上で、個人情報保護法の情報開示のあり方を宮古島市としても事前に検討し、対策を練るよう呼び掛けた。
下地さんは、1月29日から1週間、福島県の南相馬市にある特定非営利活動法人さぽーとセンターぴあ(デイサポートぴーなっつ)で応援活動を行った。
活動の中で下地さんは、「ぴーなっつ」の青田由幸理事長から昨年の東日本大震災後、災害時における障害者の安否確認をする際に個人情報である「障害者手帳交付者名簿」の公開に南相馬市が踏み切った経緯などの説明を受けた。
青田理事長から、宮古に戻った際に災害時の個人情報保護法の情報開示について、人命を尊重する観点から事前に検討することを宮古島市にも呼び掛けてほしいとの要望を受け、今回の訪問となった。
下地さんからの説明と要望を受けた下地市長は「貴重な情報を提供してくれてありがたい。市としても災害時における障害者の人命と安全のためにしっかり取り組みたい。要望の件も検討したい」と述べた。
南相馬市では震災後、原発事故も重なり、7万人の人口が緊急避難で1万人にまで減少。街はゴーストタウン化した。
4月に入り、障害者とその家族を含む住民が戻り始めたが、再び災害があった場合の備えで政府が定めた「避難支援プラン」づくりの一環として自衛隊の協力の下、「災害時要援護者名簿」のリスト作成を進めた。しかし、その中に障害のある人が入っていなかったことが分かり、「ぴーなっつ」などが関係機関と共同して名簿づくりを進めることとなった。
作業を進める中で、個人情報保護法により、障害を持つ人の情報がスムーズに得られない状況となるが、それを打開するため、同市では「障害者手帳交付者名簿」の公開に踏み切った。
そうした中で取り組んだ「災害時での個人情報開示に基づく調査活動」は緊急時、非常時において最も困難な立場に立たされる障害のある人の命と生活を守るためには必要な取り組みであることが実証されたとしている。
こうした取り組みの報告を受け、下地さんは「災害時に障害者の命と安全のためにも宮古島市としてもこの問題について事前に対策を練っていてほしい」と呼び掛けた。