下地ミツさんが大賞/伝統的工芸品作り手部門
宮古上布織り80年現役
12歳の時から80年以上も現役で宮古上布の製作に携わっている下地ミツさん(97)が、伝統的工芸品産業大賞(作り手部門功労賞)を受賞した。優れた技量と伝統的工芸品の振興に尽くした功績が認められた。宮古織物事業協同組合の長濱政治理事長が16日、賞状と副賞の目録を伝達した。
伝達式は、宮古伝統工芸品研究センターで行われ、若い織り子たちも下地さんを祝福した。
ミツさんの次男で、宮古上布伝統工芸士の下地達雄さんによると、母は女手一つで兄弟5人を育てた。父は若くして他界。ミツさんは、昼は行商で街を歩き、夜は寝る間も惜しんで、上布を織ったという。現在は、苧麻糸を績む日々。熟練の技が息づく、かなり細い糸という。
達雄さんは「80年間積み上げた技術は、私も50年間携わっているがまねできない。素晴らしい母で、織物の師」とたたえた。「頑張れば認められることを母は示した。母をはじめ先輩から受け継いだ宮古上布を守っていくために、頑張ってほしい」と織り子たちを励ました。
長濱理事長は「97歳という年齢にびっくりした。しかし、現役の下地さんは、まだまだ元気。今後とも宮古上布に関わっていただいて、私たち後輩を指導してください」と祝福した。
ミツさんは「受賞は、感無量」と笑顔。織り子に「宮古上布を発展させるよう頑張ってください」とエールを送った。
同大賞は伝統的工芸品産業振興協会が設けている。