キビ株出増加の可能性
友利、島尻では倍増見込む
今年は、サトウキビの株出栽培面積が増えそうだ。城辺友利地区と、平良島尻地区では、昨年と比べ倍増を見込む。増加の背景には、殺虫剤のプリンスベイトや誘殺灯の普及に伴う良好な株の出や、今年収穫したキビの大不作分を挽回したい農家の思いがあるとみられている。
市農政課によると、2011/12年期産の作型別収穫面積の構成比は、春植が8・5%、株出が10・9%、夏植が80・6%。行政は、2年1回収穫の夏植と比べ、1年1作の株出や春植の普及が増産の鍵を握るとして、同作型への転換を勧めている。
島尻の辺土名豊一さん(県さとうきび生産法人連絡協議会宮古支部長)は①土壌の耕起や整地費用②苗代-が要らないなど株出のメリットを強調。今年収穫した一部畑の作柄が夏植より良く反収6㌧も取れ、周辺農家の関心を高めたことも、株出栽培増加の理由に挙げた。
城辺友利地区の原料員・前里定広さんは「ベイト剤を使った畑は、株の出ばかりでなく、育ちもいい。これも株出を増やしている要因の一つ」と分析する。
宮古本島におけるキビ栽培は、30年ほど前まで株出が全収穫面積の5割以上を占め、主流になっていた。塩素系殺虫剤の使用が禁止されてから、キビの根の芽を食い荒らすハリガネムシが増え激減。キビの立ち枯れを引き起こすアオドウガネの増加も影響した。
現在、ハリガネムシの防除に有効なベイト剤やアオドウガネを光でおびき寄せて捕獲する誘殺灯の普及が進み、株出復活へ展望が開けた。