PAC3 野原基地に配備か/防衛省
月内にも破壊措置命令/北朝鮮ミサイル 迎撃準備急ぐ
防衛省は、北朝鮮による長距離弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する事態に備え、迎撃の準備を急いでいる。ミサイル防衛(MD)システムで対応するため、地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)配備先の自治体との調整に着手した。PAC3は南西諸島の沖縄本島、宮古島、石垣島への配備が想定されているが24日現在、宮古島市への同配備の情報は入っていない。月内にも田中直紀防衛相が「破壊措置命令」を発令し、即応態勢に入る見通しだ。宮古島での配備が決定した場合、上野野原の航空自衛隊宮古島分屯基地の配備が有力視されている。
2009年4月に北朝鮮が太平洋に向け弾道ミサイルを発射した時、防衛省はイージス艦を日本海に2隻、太平洋上に1隻展開。秋田、岩手両県と首都圏にPAC3を配備し、ミサイル落下時の迎撃に備えた。
北朝鮮が4月12~16日の間に発射すると予告したミサイルは、先島諸島上空を通る可能性が高い。このため、防衛省は同諸島の周辺海域にイージス艦を配置し、先島諸島の石垣島、宮古島、沖縄本島などにPAC3を配備する方針だ。航空自衛隊浜松基地(静岡県)の高射教導隊のPAC3を海上自衛隊の輸送艦などで運ぶ方向で調整している。
防衛省は09年と同様、ミサイルが上空を通過する場合は迎撃しない。これに対し、事故や故障で日本の領土、領海に本体や部品が落下する可能性がある場合には、まずイージス艦の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)により大気圏外で撃破し、撃ち漏らした場合には地上に配備したPAC3で迎撃する。
ただ、ミサイル防衛では、迎撃ミサイルの命中精度は必ずしも高くないとの見方もある。これについて防衛省幹部は22日の自民党国防部会で「自衛隊のPAC3は配備後、米国での演習で2回発射し2回標的に命中。イージス艦は4回のうち3回命中した」と説明、問題はないとの認識を示した。