宮古島市 所在不明の高齢者いない/市介護長寿課・市老ク連合会
組織的活動で実態把握
全国で100歳以上の高齢者の所在不明が問題となっている中、宮古島市では所在不明の高齢者は現在確認されていない。市介護長寿課は市と老人クラブなどの関係団体と連携し組織的な高齢者の見守り活動を実施しており、市内の高齢者の生活実態は把握しているという。
同課の垣花直課長は「敬老の日の作業として市は毎年、新100歳と88歳のお年寄りを訪ね、生活実態を必ず確認をしている」と述べた。
市は09年度から宮古島市老人クラブ連合会に「市老人クラブ友愛・見守り活動」を委託し、同連合会は81の単位クラブが一人暮らしの高齢者と高齢者のみの夫婦を対象に、見守り活動をしている。同年度の実績は対象者が5393人で訪問回数は1万1471回だった。市と関係団体が連携し組織的な見守り活動は県内でも少ないという。
同連合会の松長寧事務局長は「一人暮らしの高齢者などの孤独死や引きこもりを防ぐのが当初の目的だった。見守り活動が充実していく中で、今は家族が戻って一緒に暮らしている、居住場所と住所が一致するかなど生活形態の把握にも努めている」と話す。
これまでの見守り活動で「交通手段がなく買い物に行けない」「足腰が弱く、切れた電球の交換ができない」など生活に密着した相談のほか、無職の息子と住んでいる高齢者に打撲のようなあざが見られる」など高齢者虐待の疑いがある事例も顕在化したという。
見守り活動は単位クラブの活動員が月に2回友愛(見守り)カードを携えて訪問し問題点や健康、生活状態などを確認した上で、相談や要望にも応じている。
今後、高齢化が進み、地域での人間関係が疎遠になっていく可能性が懸念される中、孤独死や引きこもり防止対策について垣花課長は「高齢者の生活形態などの実態を把握し、見守り事業などの施策をさらに充実させていくことが今後も不可欠」と話した。
宮古島市で65歳以上の高齢者数は09年3月末で1万2343人で、同期全人口5万4613人の約22.6%を占める。10年8月9日現在では1万2408人に増加している。