入学費用、世帯年収の6割/沖縄公庫調べ
高校・大学などの進学 離島の教育費負担大
沖縄振興開発金融公庫はこのほど、「2010年度教育資金利用者調査報告書」を取りまとめ発表した。同報告書は、教育資金の融資を受けた世帯を対象に、その実態などについてまとめたもので、同報告書によると、教育費のうち、高校や大学進学に必要な「入学費用」(入学金、家賃契約料などを含む)が県内平均では世帯年収の49・6%を占め、さらに離島から島外に進学する子どもの場合には平均で、世帯年収の58・9%と約6割に上ることが明らかとなり、離島住民の教育費負担が、県平均よりも大きいという実態が明確になった。
公庫では「離島特例制度」(離島居住者の低金利融資制度)を10年度から開始したことに伴って、同調査報告をとりまとめた。同年の教育資金利用件数1519件を対象に調査し、世帯年収や教育費の支出状況などを全国、県内の利用者と比較した。
高校や大学、専門学校などの入学先別で、入学費用の内訳をみると、住居費の県平均が15・1~25・3%であるのに対し、離島特例利用者は23・6~52・7%を占め、就学負担を押し上げていることが明らかだ。
交通費や家賃など在学中に必要な費用(在学費)でも世帯年収に占める割合が県内平均で31・2%だったのに対し、離島特例利用者は平均で33・8%となっている。
平均世帯年収は、離島特例利用者で373・3万円。県内平均の409・1万円より約36万円少なく、離島居住者が低収入であるにも関わらす、中学卒業後の子どもに必要な教育費が家計を圧迫している状態にあることが分かる。全国平均は566・9万円と県内平均より約158万円多い。
進学先別にみた県内の1年間の在学費用は高校66・1万円(離島特例・9万円)、専修・各種学校99・2万円(同121・6万円)、短大94・3万円(同114・4万円)、大学99・8万円(106・6万円)となっており、入学費用のみならず、在学費用も住居費等の負担増から、すべての進学先で離島特例利用者が県平均を上回っている。