宮古牛人工授精 「北福波」が732頭で1位/「種雄牛別子牛出荷成績」
計画交配で改良進む
JAおきなわ宮古地区畜産振興センターは、このほど2011年4月から12年3月まで宮古家畜市場における「種雄牛別子牛出荷成績」をまとめた。それによると、出荷された子牛の父(種雄牛)は「北福波」が一番多く732頭。平均価格も40万5880円と高めだった。2位は「茂勝栄」の718頭。3位には「安茂勝」(509頭)がつけた。
宮古牛の銘柄確立を目的とする宮古牛の改良は、宮古畜産技術員会が中心となり、行政や宮古和牛改良組合と連携して方針を決めている。
同方針は、増体の優れた母牛に資質系の種雄牛を計画的に交配し、増体が良く、飼いやすく肉質の優れた素牛を生産する方向性を示している。
これまでの改良は、種雄牛の能力のみで実施されてきた。だが、産地間競争に打ち勝つためには、繁殖母牛の遺伝能力を確認した上での改良増殖も求められるとして、育種価(母牛遺伝能力)の活用にも重点を置くようなった。
和牛の種雄牛は、肉質の良い但馬(兵庫)系、質量兼備の糸桜(島根)系、同じく気高(鳥取)系の3つに分けられる。宮古畜産技術員会では家畜人工授精による交配方法を3通り定めており、例えば①但馬系統種牛は糸桜・気高系の流れを組む母牛に交配②気高系は但馬系に交配③糸桜系は但馬系に交配する-などの計画交配方法を畜産農家に指導し、農家も改良方針に添って人工授精交配を行っている。
計画交配によって生産された子牛は、購買者の信用を得て宮古の価格は、県内市場でも高値で安定しているとJAの担当者は話す。
人工授精費は、1回につき8000円~1万円。1頭を妊娠させるまでの平均種付け回数は1・5回。JAでは「母牛の系統をしっかり把握した上で、種雄牛は選択してほしい。これが優良雌牛群の形成、市場評価の向上につながる」と呼び掛けている。
今回1位となった「北福波」は、宮古島産の種雄牛で、名牛の名声は全国的にも鳴り響いている。