争点なく投票率低迷/県議選
「少数与党」に変化なし
第11回沖縄県議会議員選挙は10日の即日開票で、14選挙区(定数48)すべての議席が確定した。仲井真弘多県政を支える与党系は過半数奪還を狙ったが、現有21議席から数を伸ばすことができず、2008年6月の前回県議選で獲得した22議席より1議席減らす結果となった。
一方、野党・中立系は現有26から27議席に数を伸ばした。改選後の県議会は「少数与党」がそのまま維持され、仲井真知事には厳しい県政運営が迫られることになる。
今選挙では議会の与野党勢力構図がどのように変化するかが「焦点」となっていた。だが、与野党分かれての明確な「選挙争点」がなく、沖縄最大の懸案課題である在沖米軍基地問題についても、10年11月の県知事選で、仲井真知事が米軍普天間飛行場の移設先を「県外移設」と表明したことによって基地問題は、県内移設を迫る政府と県外移設を求める県民総意が対峙する形に変わった。
このような「争点」なき選挙は有権者の投票行動を鈍らせる結果となる。今選挙の投票率は過去最低だった08年県議選の57・82%より5・33ポイント低下し52・49%と最低値をさらに更新した。
有権者の「政治不信」や「政治的無関心」がより一層進んだことも投票率は物語る。普天間基地を「少なくとも県外に」と訴え、政権交代を果たした国政与党民主党が、その後、沖縄で繰り広げた「辺野古回帰」などの政策転換は国民、県民の政治不信を増長させたことは否めない。
県議選各選挙区の政局動向はさまざまだが、今選挙結果が11月の那覇市長選、来年1月の宮古島市長選など各選挙にどのような影響を与えるかが注目される。
また、県議会は今年度からスタートした改正沖縄振興特別措置法および「沖縄21世紀ビジョン」を基にした新振興計画、沖縄振興一括交付金の使途などを決定する議決機関としての重責を担う。
地方政治にとどまらず、いわば立法府を代理する機関としての機能強化が求められ、県政運営の監視機能に加え、主体的に「地方主権」を推進する政策立案能力と実行力が各県議に求められることとなる。
有権者の投じた1票には沖縄の未来を開きたいという切なる願いと厚い信頼が込められている。