「傷跡は生涯忘れない」/市総合博物館
市総合博物館の慰霊の日特別展示関連講演会が23日、同博物館で行われた。戦時中、宮古でも特に米軍の攻撃が激しかった上野字野原出身の久貝シゲさん(86)が「宮古での戦争体験談」の演題で講話し、久貝さんは戦争の悲惨さと今の平和な世の中が永遠に続くことを呼び掛けた。
主催者あいさつで下里典子館長は「この講演会は平和の尊さ、戦争の悲惨さを一人一人が考える時間にしてほしい」と呼び掛けた。
講話で、久貝さんは、宮古でも空襲が激しさを増した1945年4月10日の早朝。上空を飛ぶ米軍機の爆音が聞こえたことから、急いで防空壕に逃げ込んだが、近くに爆弾が投下され、爆発により入口がふさがった壕の中で「助けてください、神様」と叫んだ恐怖の体験を紹介した。
「戦争の傷跡は生涯忘れることはない。今でも空襲警報の音は耳に残っている。今の平和な世の中で子や孫たちと楽しく過ごせている毎日に感謝したい。私の体験談で平和の尊さや二度と戦争を繰り返してはいけないということが皆さんに少しでも伝わればうれしい」と涙ながらに話した。
会場には多くの市民が詰め掛け、久貝さんの体験談に真剣な表情で聞き入っていた。