与那覇湾を正式登録/ラムサール条約
7日に認定証授与式
国の特別保護地区に指定されている与那覇湾が3日、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」(ラムサール条約)に正式に登録された。ルーマニアのブカレストで7日に下地敏彦市長が出席して登録認定証授与式が行われる。与那覇湾の登録は、県内では漫湖、慶良間諸島海域、名蔵アンパル、久米島の渓流・湿地に次いで5カ所目になる。
下地市長は3日午前、環境省那覇自然環境事務所から「正式に認定された」と連絡を受けた。正式登録されたことに下地市長は「与那覇湾を中心にして、宮古全体の自然環境が良いと認められた。喜ばしいことだ」と述べ「野鳥が集う場所なので観察施設を検討したい」と施設設置を示唆した。
市はルーマニアでの認証式後早い時期に国、県、市で協力して登録記念シンポジウム開催を計画している。
与那覇湾は2011年11月1日に、総面積1366㌶が国の鳥獣保護区に指定された。この区域内の水面域699㌶と林野1㌶、その他4㌶の計704㌶が特別保護地区に指定され、この特別保護地区がラムサール条約に登録された。
特別保護地区にはこれまでの調査で、植物はシマシラキ、ビロウ、モモタマナなどが分布しており、沿岸部はメヒルギなどのマングローブ林やモクマオウ、ススキ群落で構成されている。
動物は鳥相が豊かで環境省のレッドリスト絶滅危惧種ⅠA類のクロツラヘラサギ、絶滅危惧ⅠB類のツクシガモなど希少な鳥類も含まれている。越冬、繁殖のためシベリアから東南アジアまで移動するシギ、チドリ類の重要な中継地点でもあり、数多くの鳥類が確認されている。ほ乳類はホンドイタチやオオコウモリなどが確認されているが数は少ない。
ラムサール条約湿地は▽保全・再生▽賢明な利用(ワイズユース)▽交流・学習-の3本柱が互いに支え合い、身近な存在として人間の生活環境や社会活動と深い関わりを持つ干潟と位置づけられている。
湿地のワイズユースにより、生物多様性が維持され、健康で心豊かな暮らしや産業など、社会経済活動とバランスのとれた保全の推進により、将来に湿地の恵みを受け継いでいく。
また、干潟の祭典として毎年開かれている「サニツ浜カーニバル」もラムサール条約登録湿地で開催される行事としてのブランド化も可能になり、新たな観光資源として期待される。
国内では与那覇湾のほか北海道の大沼や広島県の宮島など8カ所が登録され、登録湿地は46カ所になった。
ラムサール条約 1971年にイランのラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」で「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」が採択された。開催地にちなみ「ラムサール条約」と呼ばれる。日本は80年に締約国になった。