方言やダンス織り交ぜ/市こども劇団
初公演生き生きと/「百点満点」「大きな自信に」
今年4月に設立した宮古島市こども劇団の第1回立ち上げ公演「ゆうたっちょの中学生絵日記」(田中雄太作)が12日、マティダ市民劇場で行われた。団員46人が宮古方言のせりふやダンスなどを織り交ぜた青春ドラマを演じ、大勢の市民から拍手を受けた。団員たちは「百点満点」と演劇の素晴らしさを実感。関係者は「大きな自信につながる」と大喜びだった。次回はオリジナル創作劇を発表する予定だ。
上演作「中学生絵日記」は、自分をしっかり主張できる格好良い姿に憧れながらも、空想の中でしかそれができない気弱な中学生ユウタの悩み多き学校生活を描いた。
1995年の第41回全国高等学校演劇大会で脚本賞を受賞した。
東京芸術座演出家の杉本孝司さんが演出を担当。せりふに宮古方言を取り入れたりクイチャーをコミカルな踊りにするなど「宮古島バージョン」で構成した。
憧れの女の子葉月をめぐる三角関係をベースに、部活やホームルームの様子などを時にはオーバーアクションで、時にはユーモアたっぷりに演じて見せた。
暴力的で熱血溢れる男性教師、生徒たちの笑いを生き甲斐に感じる女性教諭など個性豊かなキャストが勢ぞろい。気弱で無口な生徒が酔った勢いで教諭に絡むシーンや好きな人との別れの場面では会場の笑いや涙を誘った。
シンプルな舞台セットに団員たちの伸び伸びとした演技、シーンに合った音響や照明、美術も加えた約1時間の公演は最後まで観衆の目を引き付けていた。
演出を担当した杉本さんは「子どもたちの生き生きとした演技が観客に受け入れられた。大きな自信につながるだろう」と評価した。
公演を見た下地敏彦市長は「今後とも劇を通して、『宮古島の子どもたちここにあり』ということを内外に発信してほしい」と話した。
40代の主婦は「せりふやダンスなど、宮古島の子どもたちが演じているとは思えないほどの洗練された舞台だった」と絶賛していた。
子どものユウタ役を演じた下地胤瑳君(久松中3年)は「緊張したけど、観客の反応が後押ししてくれた」、教師役の根間すみれさん(宮高2年)は「すべてにおいて百点だが、百点を満点とは思わずに次につなげていきたい」、熱血教師の権田原を演じた伊佐瑞人君(宮高2年)は「波にのって演技することができた。120点を付けたい」とそれぞれ胸を張った。
会場には大勢の家族連れなどが訪れ、歌ありダンスあり、コメディーありの青春物語を堪能していた。