新里玲子さんに地域賞/伝統文化ポーラ賞
現代の宮古上布の道開く
宮古上布の制作・振興に携わっている上野新里の新里玲子さん=(63)=宮古島苧工房代表が第32回伝統文化ポーラ賞(ポーラ伝統文化振興財団主催)の地域賞を受賞した。県内からの受賞は20人目。「賞は私個人がもらうが、苧麻糸を績む地域のおばあさんや島の伝統技術に支えられての賞」と喜びを語った。
新里さんは1972年、下地恵康さんの工房に入門した。当時の宮古上布は、緻密な紺十字絣一色。そんな中で「宮古上布はなぜ一色なのか」と疑問を持ち、歴史をひもとくと、琉球王朝時代の彩り豊かな「御絵図柄」に出会った。75年に、下地さんの工房を辞めて独立し、草木染めの色上布を織り始めた。
宮古上布の道に入って40年。上布に新たな可能性を感じ、現代の宮古上布としての道を切り開いた功績が評価された。
長年の間に、のびやかな色上布の作風を確立し、95年には日本伝統工芸染織展「日本経済新聞社賞」を受賞。2011年には日本伝統工芸展「奨励賞」に輝いた。現在、「宮古上布保持団体」の代表を務め、後進の育成指導に尽くしている。
地域賞は、地域において優れた業績を残し、今後の活躍も期待できる個人や団体に贈る。新里さんは「これからも苧麻という素材の特徴が生きるモノづくりと、先人の足跡を掘り起こす御絵図柄の復元に努めたい」と抱負を語る。