栽培管理で生育に明暗/キビ株出
収益増へ農家取り組み課題
2012-13年期サトウキビの株出栽培は、収穫予定面積が大幅に増えたものの、雑草が繁茂してキビの生育を阻害している管理不行き届きの畑が一部見られる。夏植の平均反収8㌧の4分1の2㌧に届きそうもない畑もある。一方、しっかり管理された株出には、7㌧以上が確実視される所もあり、栽培管理の如何が生育を左右している。
夏植は2年1回、株出は1年に1回収穫する栽培体系。行政は土地の効率利用を目的に、年1回収穫の株出栽培を推進している。
県の農業改良普及課によると、反収5㌧以上でないと夏植の収益が勝ると試算。今後、同目安をクリアするために、農家の管理徹底を促す取り組みが課題となりそうだ。
市内のある株出畑では、雑草のシロバナセンダングサ(方言名・ムツウサ)が、畝間を埋め尽くしていた。キビの茎は短く、葉も黄色っぽい。生育不良は、雑草が栄養分を吸い取り、キビに行き渡らないからだという。
植え付けから収穫、株出管理まで一貫して機械化している辺土名豊一さん(県さとうきび生産法人連絡協議会宮古支部長)=島尻=の株出は、茎の長さが3㍍以上と、夏植並みに成長した。畝間に雑草はない。反収は、7㌧以上見込めるという。
同畑での株出栽培は、3年連続となった。2月に管理機を使い除草剤や農薬をまき、株をそろえ肥料を与えた。
辺土名さんによれば、雑草対策は早めに行うのが肝心。時期を失すると、手に負えなくなる。株出管理機の使用料は10㌃(約1反)当たり4000円。「株出の管理方法が分からない場合は、近くの管理機所有者と相談してほしい」と話す。機械利用の畝幅基準は、140㌢以上が示されている。
手刈りの畑では、キビの枯れ葉(方言名・パーガラ)が、耕運機のロータリーに絡むため、管理作業が難しくなる。手刈りの場合は、パーガラを株元から除去して肥料を与え、パーガラが腐植する1~2カ月後に、鋤き込んだ方がいいと助言する。
株出栽培のメリットには①2年1回収穫の夏植と比べ土地の利用効率が良い②土地の耕起や整地、苗代が要らない-などが挙げられている。
以前キビ栽培の中心を占めていた株出は、ハリガネムシに有効な新農薬の登場や、アオドウガネ誘殺灯の大量設置によって増え、復活の兆しが見えはじめた。12-13年期は833㌶で、全体面積4345㌶の19%まで増えた。