初動防疫を的確、迅速に/口蹄疫
JAなど実働演習で役割確認
「牛舎西側の草地が、(殺処分した牛の)埋設候補地として適当と考えられます」「牛は殺処分し、トラクターで牛舎の外側からけん引すれば、迅速に作業が進むと考えます」-。口蹄疫の初動防疫を的確、迅速に実施するために、現場に派遣された先遣隊が、そんな調査報告をする実働演習(主催・県農林水産部)が12日、JAおきなわ宮古家畜市場であった。北部・八重山・宮古の県出先機関や市、JA、農業共済組合の職員、農家代表ら65人が参加し、万が一に備えた。
口蹄疫は牛や豚、ヤギなどの偶蹄類がかかる家畜の法定伝染病。感染力が非常に強く、発生すると同地域の家畜は、経済的価値を失い、観光面への影響も大きい。
感染拡大予防の有効な方法は、殺処分しかない。宮崎県で2010年に発生した口蹄疫では、29万頭が殺処分され、被害額は2350億円(うち観光1047億円)に上った。
口蹄疫は発生しないに越したことはないが、今回の演習は万が一の時の迅速な封じ込めを狙いに実施した。
あいさつで、知念武農林水産部長(代読)は「海外に目を向けると、地理的に近い台湾をはじめとする東アジア諸国では、口蹄疫の発生が継続しており、本県への侵入リスクの増大が懸念されている」と危機感を募らせた。
與那嶺宏明・県宮古農林水産振興センター所長は「演習の成果を踏まえて、改善点などについて意見を交換し初動防疫体制の構築に生かしていきたい」とあいさつした。
宮古地域の演習のテーマは「発生農場における先遣隊初動シミュレーション」。中南部(8月2日)、八重山(9月6日)に次いで、宮古となった。宮古での演習は11、12の両日行われ、11日は47人参加した。