「市史」通史編を発刊/市教委
郷土学習への活用期待
市教育委員会(川満弘志教育長)はこのほど、最新の研究成果を反映した市町村合併後初の『宮古島市史 第一巻 通史編 みやこの歴史』を発刊した。宮古研究の最高水準の内容になっており、高校生にも分かりやすいように編集されている。21日、川満教育長と市編さん委員会の仲宗根将二委員長らが記者会見し「今後、市民の郷土講座や児童、生徒たちの郷土学習の副読本として活用されることを期待する」と述べた。きょう22日から市内の各書店で一部3000円で販売される。
目黒盛豊見親が与那覇原を打ち破った年代については、これまで慶世村恒任の「1365年ごろ」、稲村賢敷の「与那覇勢頭豊見親の中山朝貢(1390年)より20年程前」との見方が定着していた。ところが、約30年前に砂川明芳が「目黒盛と与那覇原の決戦は1408年ごろ」と新たな見解を示した。今回の通史編では砂川の視点を取り入れた。
通史編はB5判、全760㌻。発刊部数は1000部。口絵はカラーグラビア、本文に図版・表などを挿入し、本文下には脚注欄を設け、用語解説、引用文献、写真などが掲載されている。
カラーグラビアは「写真でみる『ばんたが みゃーく』として、宮古の自然および歴史の流れを写真で紹介した。
本文は、序説で宮古圏域全体の歴史、自然、風土などを概観している。本論は時代区分に沿って第1編「先史・グスク時代」、第2編「古琉球」、第3編「近世」、第4編「近代」、第5編「現代」を記述した。
附編では「村の変遷」や「歴代王府派遣在番・住持・詰医者」、「市町村歴代三役」、「市町村歴代議会議員」、「学校の変遷」、「宮古史略年表」などを掲載している。読者の便宜を図るために、宮古の主要な人物、事柄などの「索引」が設けられている。
下地敏彦市長は発刊のことばで「宮古島市が今日のような発展を見たのも、先人の不屈の魂と血のにじむ苦労の賜物。『市史』を通して幾多の先人の来し方をたどり、その思いに触れることは、慌ただしい時代に生きる私たちにとって大変意義深い」と述べている。
川満教育長は「市町村合併から約6年かけて発刊された。島の歴史を知ることでアイデンティティーを知る。広く読まれることで新しい宮古の像も生まれてくるだろう」と語った。
仲宗根委員長は「第一義的には市民のために書かれたもの。また研究者の批判に耐え得る水準を保っており、宮古の歴史を次世代に引き継いでもらいたい」と強調した。
問い合わせは、市教育委員会生涯学習振興課(電話77・4947)