あす肉用牛競り再開/口蹄疫影響で3カ月ぶり
農家、ひとまず安堵の表情
宮崎県で発生した口蹄(こうてい)疫の侵入防止のため5、6月に中止していた肉用牛競りが8日に宮古、9日に多良間で再開される。約2カ月の間農家は餌代や生活費、学費の仕送りなどの資金繰りに苦慮。再開に安堵の表情を見せている。
子牛の上場頭数は宮古が通常の500頭を大幅に上回る734頭(12カ月齢超過牛含む)、多良間で230頭(同)を予定している。
宮古の上場牛のうち約70頭が2カ月の間に、輸送費補助(1頭当たり1万9500円)の対象となる12カ月齢を超過。同牛についてはは、価格への影響が懸念されている。
県とJAおきなわは、宮崎県での口蹄疫拡大を受け、5月競りの中止を4月30日に決定。6月競りも広がりが収まらないため、中止となった。
宮古家畜保健衛生所(慶留間智厚所長)は、防疫を徹底し競り再開に備えるため▽牛舎の一斉消毒▽踏み込み消毒槽設置▽消石灰(消毒薬)配布▽宮古空港、平良港に消毒マット設置▽平良港に車両消毒ヤード設置▽宮古と多良間の家畜市場に消毒ゲート設置-などの対策を取ってきた。
今回、宮崎県で沈静化し防疫体制も整い、農家の強い要望もあることから競り再開となった。
宮古と多良間を合わせた2カ月間の競り販売額はだいたい4億6000万円。これからJA仮渡し金の約6000万円を差し引いた4億円が農家に入らず、特に専業農家は苦境に立たされた。
城辺の下地範昭さんは、飼養規模160頭の大規模農家。月に60~70万円の餌代や生活費、子どもへの仕送りに充てる収入がなく、200万円借り入れてしのいだ。「何はともあれ、再開できて良かった」と胸をなで下ろす。
荷川取広明さんも飼養規模105頭の大規模農家。飼料代や農協有牛の割賦支払いは待ってもらった。子牛が次々に生まれるため、牛舎が手狭になったという。「価格以前に、競りが開かれることにほっとしている。毎月開かれる競りのありがたさを実感した」と話す。
宮崎県の口蹄疫はまだ治まらず、今後、一層の防疫対策が求められている。慶留間所長は「競りが毎月開かれ、人や車が出入りするこれからが本番。気を緩めたらいけない」と呼び掛けている。
宮古の臨時競りは、17日にも予定されている。
行政とJAは、競りの中止を受け飼料の無償配布や助成、生活・運転資金の利子補給、購買者の旅費の一部助成などの支援に乗り出した。