カツオの可能性探る/カツオフォーラム
各分野関係者が提案/「資源保全で協働」など宣言
カツオ漁業の歴史を振り返り、現在の担い手不足などの課題を考える「2102カツオフォーラムin宮古島」(主催・同実行委員会、日本カツオ学会、伊良部漁協、共催・市)が6日午後、市伊良部公民館で開かれた。県内から産官学の関係者らが出席。基調講演で、沖縄大学名誉教授の上田不二夫さんは「琉球王朝時代の塩辛はみそやしょうゆに匹敵する調味料であった。カツオの塩辛で調味料を作ってはどうか」と提案し注目された。「宮古島大会宣言」を全会一致で承認。参加者らはきょう7日は、市内のパイナガマビーチで海族まつりのハーリー大会を視察し、交流を深める。
宮古では、1906(明治39)年に平良村字西里在で鹿児島県出身の鮫島幸兵衛が借船の鰹釣漁船2隻を導入し操業した。これが宮古の鰹釣漁業の始まりとされ、今年で106年。この日は、鮫島のやしゃごに当たる鮫島実仁さん(43)=宜野湾市=が参加し関係者らを喜ばせた。
上田さんは「沖縄のカツオの価値を問う」のテーマで講演。この中で「カツオの腹皮や卵巣、胃袋などの内臓は塩辛の原料。塩辛は、めん類などの食品の隠し味の効果を発揮できる調味料」と説明し、宮古から塩辛を活用した調味料の発信を提言した。
パネルディスカッションのテーマは「離島におけるカツオ漁業のこれから~持続可能な展開に向けた地理的不利性の克服と人材確保~」。コーディネーターは受田浩之さん(高知大学教授)。パネリストは長崎節夫さん(沖縄大学客員教授、池間島出身)、漢那一浩さん(佐良浜のカツオ船「第5喜翁丸」の船長)、平安山良修さん(沖縄本島の本部漁協組合長)、久塚智明さん(FBTプランニング代表)、川満清隆さん(かわまん商店代表)の5人。
このうちインドネシアと沖縄を結ぶ活動を展開している長崎さんは「外国では、巻き網でカツオを水揚げしている。これでは資源が減少する」と危機感を示した。
漢那さんは「カツオ漁船の乗組員は高齢化し、担い手が育たない。しかし、儲かる漁業をやることで担い手は育つ。これからも儲かる漁業に力を入れ、担い手を育成したい」と決意を新たにした。
特別講演では前宮古島市教育長の川上哲也さん(池間島出身)が「カツオ万歳~カツオ漁業を舞台にしたふるさと物語~」のテーマで講演。カツオ漁業で活気のあった1960年代の池間島を中心に紹介した。
次いで長濱政治副市長がカツオ資源の保全に向けたさらなる協働を図ることや新たな加工方法・観光業などを含めた6次産業化などを内容とした「宮古島大会宣言」を読み上げ、参加者らは拍手で承認した。
実行委員長の下地敏彦市長が日本カツオ学会の若林良和会長に大会旗を手渡し、若林会長が次回開催地の宮崎県日南市の阪元勝久副市長に引き渡した。
カツオフォーラムが宮古で開催されたのは今回が初めてで、国内では3度目。