輸送体制の確立を/マンゴー船舶試験
熟度、味「おおむね良好」
増産見越し、県が実証
宮古島産マンゴーの増産に伴う輸送体制の確立に向けて、県のマンゴー船舶輸送試験が行われた。実際に船舶で那覇に輸送し、再び宮古島に戻す方法で実証。29日に宮古地区の関係者を集めて開いた品質検討会では果実の熟度、味ともに「おおむね良好」とする評価を得た。ただ、現場の生産者からは過熟を指摘する意見もあった。
昨年、宮古地区では宮古空港におけるマンゴーの積み残し問題が浮上した。現行路線数による航空輸送のみでは今後の増産には対応できないと判断、船舶を含めた輸送体制の構築に向けて検討が進められてきた。
このような実態を踏まえて県が船舶輸送試験を実施した。宮古島で24~25日に収穫したマンゴーを船舶で那覇に出荷、海上輸送中は冷蔵庫で管理した。これを航空便で宮古島に戻し、通常の航空輸送出荷のマンゴーと比較しながら品質面における差異を調べた。
29日の品質検討会では約30人の関係者が船舶輸送のマンゴーを試食し、熟度、味、香りなどを調べた。この結果、多くの参加者が航空輸送と比べても「それほど大きな違いはない」と総括。航空輸送と比べて輸送時間が延びる船舶輸送でも、冷蔵管理で品質劣化を防げることを裏付けた。
ただ、生産者の一人は「熟しすぎていると思う。仮に船で輸送することが確定できるのであれば、果実の早取りも検討すべき」と指摘した。「生産者としては航空輸送が最も良い輸送手段」とする率直な意見も述べた。
県を含む関係機関は今後も船舶輸送の可能性を模索する。船便の数や輸送時における冷蔵庫の温度管理など課題は多いが、マンゴーの積み残し防止に向けて協議を続ける方針。