年内操業を検討/製糖2社
12-13年産キビ 来期生産量の確保狙い
宮古本島内の製糖2工場が、2012-13年産サトウキビの製糖操業を年内に開始することを検討している。新植夏植えの発芽率が落ち込んでいることが主な要因。来期13-14年産の収穫量が大幅に減少することが予想されるため、今期の操業を早めて春植えや株出しの収穫面積を拡大し、夏植えの減産分を補うのが狙いだ。一方で慎重な意見もあり、現段階で年内操業の実施は流動的。両工場は今後、生産量調査の結果を見極めて、近く判断する。
夏植えの発芽率悪く
夏植えの発芽率低下は宮古全体で見られる。キビの苗が9月下旬に接近した台風17号の強い風雨によって流動した土に埋まり、発芽が妨げられた。
沖縄製糖宮古工場の調査によると発芽率は50%。平年の10㌃(約1反)当たりの収穫本数は約7000本だが、現状では3500本に落ち込むという。
このため、各工場とも来期13-14年産の大幅な減収を懸念している。生産量を確保しなければ工場の利益はもとより、農家の収入にも影響する。こういった考えから、春植え、株出し面積を拡大して全体生産量の確保を狙う年内操業が持ち上がった。
ただ、品質が上昇しないままの年内操業を疑問視する声もある。立て続けに接近した台風の影響で、今期収穫分のサトウキビは著しい塩害を受けており、台風通過後の品質調査では糖度が低下している。
サトウキビの品質は気温が冷え込む年明け以降に上昇するが、これを待たずに収穫した場合の収入の目減り分をどう判断するのか、製糖工場としては慎重にならざるを得ないのが現状だ。
春植えや株出しの面積が期待通りに伸びなかった場合の不安もある。ある関係者は「春植えや株出しの拡大によって収穫面積を広めていくという意識がどこまで浸透しているかという疑問はある」と述べた。
取材に対し、沖縄製糖の砂川玄悠専務は「製糖工場としては適宜操業を心掛けていく」と述べるにとどめ年内操業については近く判断する意向を示した。宮古製糖は「検討中」とした。