平和の尊さ、かみしめ/「慰霊の日」前に各校で平和集会
きょう23日の「慰霊の日」を前に、宮古地区の各小中学校では平和集会が行われた。児童らは体験者の話に熱心に耳を傾けるとともに、詩の朗読、合唱を行い、戦争の悲惨さと平和の尊さを改めてかみしめた。
福嶺中学校では、新城出身で音楽活動を通して平和を訴えている新城悦子さん(颶)が母校の生徒たちに悲惨な戦争が父を奪い、人生に大きく影響を及ぼした体験談を紹介するとともに歌で恒久平和を呼び掛けた。
新城さんは「教諭をしていた父は戦地に行って、私が生まれる前に亡くなった。一番私が生まれるのを楽しみにしていたはずで一番私のことを思い死んでいった父に心から会いたいと思う。自分にも子、孫ができ、いっそう平和の大切さを感じてる」と話した。
新城さんは「里の秋」「さとうきび畑」を歌い、戦争の悲惨さ、平和の大切さを生徒たちに訴えた。
戦争により、一番自分のことを愛していた父を失い、今でも会いたいと願いながら平和を求める新城さんの歌声に生徒、教諭たちも聞き入り、涙ぐむ姿も見られた。
同校の平和学習会は、人間尊重の精神と生命の大切さを感じるとともに、地域の戦争体験者から当時の体験談を聞くことで平和な日々の生活が多くの人に支えられていることをあらためて見直し、思いやりの心を育てることなどを目的に実施している。
「父は戦死。記憶にない」/西辺小 花城愛子さんが戦争体験講話
西辺小学校(宮國芳美校長)では戦時中台湾疎開の経験を持つ花城愛子さん(70)を講師に迎え平和集会が開かれた。全校児童62人に加え幼稚園児11人も参加した。
花城さんは「母が子どもたちを守りたいと当時5歳だった自分と二つ上の姉を連れて台湾に疎開した。終戦を迎え宮古に向かう最後の引き揚げ船で戻ったが父は戦死していた。父の記憶はない」と当時の体験を話した。
友利梨那さん(6年)は「戦争は遠い話だと思っていたが、話を聞いて、身近なところに戦争があったと感じた。戦争は決して起きてほしくない。みんなが仲良くしていきたいと思う」と感想を述べた。
全校参観日に当たったこの日、児童と共に集会に参加した川満夏紀さん(29)は「早くに父親を亡くしたり、つらい経験だったと思う。子を守りたいという母の愛情の強さを感じた」と話した。
集会で参加者全員が戦没者に1分間の黙とうを捧げた。会場には当時の悲惨さを写した沖縄戦の写真パネルも展示した。
同校では17~22日までを平和週間に定め、平和に関する標語の作成やビデオ鑑賞などを行ってきた。
事実知り伝えることが使命/北小 詩朗読や合唱で平和希求
北小学校(冝保定和校長)で全校生徒330人が参加して平和集会が開かれ、慰霊の日や平和について学んだ。
集会は平和学習教育担当の島尻直子教諭が「慰霊の日は沖縄戦が終わった日とともに戦没者の冥福を祈る日。約20万人が戦死し、そのうち9万4000人が民間人だった」と説明した。
冝保校長は「命の大切さや平和を守るために戦争の事実を知り、次世代に伝えていくことが私たちの使命」と話した。
6年生全員で「心から平和を願い、私たち子どもが全世界の子どもたちと手をつないで戦争のない、自然破壊のない平和な世界を作りたい。一人一人が思いやりを持つことが平和を作ることだ」との詩を朗読した。全校生徒が「HEIWAの鐘」を合唱し、平和希求への思いを学んだ。
児童会長の池間稀壱君(6年)は「慰霊の日について考えることができて良かった。オジイはあまり戦争のことを話したくないみたいで、少ししか聞いたことがない。戦争のことが少し分かるようになった。23日は平和について考えて、できればライトダウンに参加したい」と感想を述べた。
平和を維持するために自分たちにもできることがあることを知ってもらいたいと、同校では7日から身近な活動として「エコキャップ運動」している。集まったエコキャップはポリオワクチンの接種に役立てる。