宮古の無資格普及員53%
仕事の忙しさ受験に影響/取得取り組み強化課題に
2012年度のアジア太平洋農環境教育学会日本支部研究会宮古大会が8日、東京農業大学宮古亜熱帯農場で開催された。基調講演をした県営農支援課の島袋律子農業革新支援専門員は、無資格の農業普及指導員が宮古では53%(15人のうち8人)の高い割合でいると指摘し、今後改善する必要性を示唆した。
普及指導員の受験資格は、大学卒で実務経験が4年以上の職員などにある。
島袋さんによると、県全体の普及指導員のうち3年未満の経験者が26%もおり、これが無資格者の割合を押し上げている一つの理由。他部門との人事交流などが、経験の浅い普及員を増やす要因になっているという。
県内の普及職員数は05年度の129人と比べ、10年度は118人と5年間で11人(9%)減った。一方、県内で抱える普及計画課題数は05年度の118件に対し、10年度は140件と22件(19%)増加。島袋さんは九州各県の中で、課題が増えたのに普及職員が減ったのは沖縄だけだと指摘した。
普及職員一人当たりの課題数は沖縄の1・2件に対し、九州平均は0・7件と沖縄が0・5ポイント高く、県職員の過重負担が浮かび上がった。
沖縄の場合、普及職員の割り当ては作物単位で行っている。島袋さんは、本島では2~3人充てることもあるのに、離島では一人のケースが多いと指摘。離島の職員は、抱える課題が多いのに加えて、労働力も少ないために、仕事に追い回され普及指導員の受験勉強に取り組めない状況にあるとした。
普及活動の今後の充実発展に向けては①普及計画課題の見直しと重点化②関係機関との連携強化③先輩職員から後輩に知識技術を伝える教育仕組みの充実④普及指導員資格取得に向けた取り組み強化-などの対策を示した。
同会では藤田康樹元東京農業大学教授も「わが国農業普及のかかえる課題」と題して基調講演した。
アジア太平洋農環境教育学会 アジア太平洋における農業の技能向上や農業教育、農業理論構築に学際的に取り組む目的で発足した組織。