キビ共済1500万円払い戻し/宮古郡農業共済組合
災害少なく農家に還元
364戸に平均4万3000円
宮古郡農業共済組合は11日、畑作物(サトウキビ)共済無事戻し金を対象364農家に払い戻した。農家掛け金の2分の1を上限とする無事戻し金の総額は1569万7997円、農家への平均戻し額は4万3126円となった。
サトウキビ共済で無事戻しを実施したのは同組合が県内で初めて。3年連続の豊作で支払共済金が抑えられたほか、将来にわたり無事戻しを実施できる見通しが立ったことが主な要因。
無事戻しは、3年間無災害か、農家への支払共済金が3年間の掛け金合計額の2分の1以内の場合、3年間共済に継続加入している農家に掛け金の一部が払い戻される制度。農業災害補償法や同施行規則、共済組合共済規程に定められている。
ただ、将来にわたり共済金の支払い財源に不足金が生じないよう各組合には慎重な判断が求められている。今回の判断は宮古郡共済組合と県、県農業共済組合連合会が①将来にわたり無事戻しの実施が可能とする見通しが立ったこと②生産農家および関係機関からの要望が強いこと③無事戻しの実施により引受拡大を図ること-などを確認し、無事戻しの実施を決めた。
11日に払い戻された無事戻し金は2006~2008年産のキビが対象となった。3年連続で共済に加入している対象農家は460戸だが、無災害および災害はあっても3年間の掛け金合計が共済金の2分の1以内だった364戸の農家を対象に払い戻された。
無事戻し金の財源は連合会の特別交付金1098万8597円と組合積立金の470万9400円を取り崩して確保。払い戻した無事戻し金の最高額は21万2834円、最低額は1045円だった。
同組合では次年度以降も無事戻しを実施する。2011年度は対象852戸に対し2149万5383円、12年度は対象533戸に1260万8083円を払い戻す見通し。
11日に会見した砂川栄市組合長は「無事戻しが実施できるということは組合にとっても農家にとっても画期的なこと」と強調。災害に遭えば共済金が支払われ、災害がなくても掛け金の一部が戻る制度の利点を訴え、「共済掛け金は安心料。今後も多くの農家に加入を呼び掛けたい」などと話し、キビ生産農家に共済加入を促した。
10年産のサトウキビ共済有資格農家は5063戸だが、引受件数は2013戸で加入率は39.8%。同組合では共済掛け金の55%を国が負担している現状などを訴え、共済加入の拡大を図る。