工事費返還で業者と覚書/伊良部7号線 補助金相当分970万円
工期遅れ、国に請求できず
市、一般会計から一時流用
宮古島市(下地敏彦市長)が2008年度に発注した伊良部島の市道伊良部7号線(通称・伊良部橋)の下部工工事(1工区)で、未完了部分の工事費約1220万円を一般会計から一時流用。市は受注業者に、流用額のうち国庫補助相当分(約970万円)を返還させる覚書を交わすとともに1カ月の指名停止にしたことが7日までに分かった。
自治体が国などの補助を受けて発注する公共工事は、自然災害などよほどのことがない限り2度に渡って次年度に繰り越すことはできない。国への補助金請求は工期内に完了した部分のみで、未完了部分は請求できない。
市は未完了部分の工事費の8割約970万円は、本来なら国へ請求する補助金分に当たると判断。業者に対し来年3月末までに分割で支払うよう覚書を交わした。一部は支払われているという。
市は工期遅れの主な理由を「業者が設計書通りに進めなかった」と主張。返還金を求めていることについては「業者に道義的責任がある」としている。
長濱政治副市長は「契約を破棄し別の業者と再契約を結ぶ方法もあったが、完成まで同一業者に施行させた方が市の負担は少ないと判断した」と説明している。
同工事は伊良部島と下地島を結ぶ通称伊良部橋。国の補助を受け08年度に1期工事(橋の下部工、当初事業費2億円)、09年度に2期工事(橋の上部工と隣接道路、同1億800万円)がそれぞれ計画されていた。
しかし2007年度に委託した設計書の作成が現地調査に時間を要したため市は結局、工事を次年度へ繰り越すことを見込んで08年3月19日に下部工の工事を入札、契約した。
工事は、伊良部島側からの1工区と下地島側からの2工区にそれぞれ分け、別々の業者が受注した。
工期は当初、09年9月30日までだったが現場で「湧水が出たり」(市道路建設課)して難航。1工区では「コンクリートの強度が不十分で再度やり直し」(同)をしたため工期が大幅に遅れたという。結局、計4回の工期変更を行ったが、09年度内には完成できず次年度の4月5日に完成した。2工区を受注した別の業者は09年度内に完了させた。
市は伊良部7号線の下部工工事を完了させるべく一般会計から工事費を一時流用。補正予算として市議会3月定例会に上程し可決された。