上布の生産拠点形成へ/宮古島伝統工芸品研究センター
観光交流施設も併設/総事業費2億4000万円 7月着工目指す
沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)を活用した事業で、市が計画を進めている宮古島伝統工芸品研究センター移転新築事業の施設概要が具体化されつつあることが9日までに分かった。新施設は、現在の市平良字西里から上野野原の「みやこパラダイス」(2011年11月閉園)敷地内の市有地に移転し建設する予定。建設総事業費2億4000万円を投じ、国の重要無形文化財「宮古上布」の一大生産拠点として整備するほか、教育研修施設、観光交流施設を併せ持った施設として活用していく方針だ。今年7月の着工を目指している。
新センターでは苧麻糸紡ぎ、染め、織りの各工程の教育研修スペースが設けられるほか、オープンギャラリーや常設工芸品展示室などを設置し、宮古上布を中心とする宮古の工芸品全般を情報発信できるコンセプトを有している。また、展示売店、休憩喫茶室を設けて観光・交流機能を併せ持つ施設構成となっている。
宮古織物事業協同組合理事長の長濱政治副市長は、かねてから現施設が老朽化し建て替えの必要性があったことを説明した上で、「世界的にも重要だと認識されている宮古上布をいかに全国発信していくかという課題もあった」と話し、展示、交流機能を強化することによって、同センターを観光施設としても活用していくことが望ましい形態であることを強調した。
また、同組合の上原則子専務理事は、施設の運営に際して「上布生産にかかわる他の組織とも交流する場のスペースも要望していた。計画概略には、これらの空間が反映されている」と説明した。
同計画概略配置図では施設内に「苧麻畑」「糸芭蕉畑」「藍畑」の見取り図があり、同施設内での原料生産も行っていく考え。さらに、新センター内では「苧麻紙」の製造を検討しており、上布生産と併せて苧麻を原材料にした手すき和紙の生産も並行して行う考えだ。
市は同概略図を基に実施設計に着手し、早ければ今年7月にも新センター建設に着工したい意向だ。