「レ・ミゼ」宮古でも反響/2度、3度見の客も
生きる力に感動、語る会など開催/シネマパニック宮古島
ビクトル・ユゴー原作で大ヒットしたミュージカル版を映画化した「レ・ミゼラブル」(日本語訳『ああ無情』)が宮古島でも静かな反響を呼んでいる。原作の持つ壮大なスケールが印象的な歌を通して画面に映し出され、大きな感動を生んでいる。二度見、三度見の人や、普段あまり映画館に足を運ばない50代男性も目立つという。上映しているシネマパニック宮古島の下地昌伸館長は「厳しい時代だからこそ、希望を持って生きて行こうという精神に感動を覚えているのではないか」と話している。
全国と同時に昨年12月21日から上映が始まり、もうすぐ2カ月になるが客足は衰えないという。
「どんなヒット映画でも日が経つにつれ、入場者は段々と落ちてくるが、この映画はずっと一定した入場者数を保っている」(下地館長)。これまで最高だった「アバター」(2009年、米)に匹敵する入場者数を記録しているという。
入場者の中心は40~50代の女性で、普段はあまり見られない60歳以上の女性や50代男性が来場するのが特徴という。
下地館長によると二度見る人も多く、中には三度、四度と足を運ぶ人もいる。「そのたびに感動した様子で映画館から出てくる」
感動を共有しようと「語る会」を開いたり、出演者らに最大限の賛辞を贈ろうと、画面に向かい立ち上がって拍手喝采するスタンディングオベーションを企画するなど、市民の間でさまざまな広がりを見せている。
三度見たという予備校代表の新山広明さん(41)は「波瀾万丈の人生を歩む主人公ジャン・バルジャンや子を思う母親、革命を起こそうとする若者たち、片思いの女性など、いろいろな角度から見ることができる」と話す。東京では舞台ミュージカルを何度も見たと言い「見るたびに違った視点で感動が得られる」と語った。
大抵のミュージカル映画は、口パクで演技ができるようにと事前に歌(せりふ)を録音するが、「レ・ミゼ」は撮影現場ですべて生で歌うという手法で撮られた。
下地館長は「リアルな歌の力、リスクを冒してまでも新しいものにチャレンジするという製作者の意気込みが伝わってくる。これも人気の要因だと思う」と話す。
「レ・ミゼ」は米アカデミー賞の前哨戦とされる第70回ゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディー部門作品賞を受賞。今月末に予定されているアカデミー賞には作品賞や主演男優賞、助演女優賞など8部門にノミネートされている。
シネマパニック宮古島では当初15日までの上映だったが、アカデミー賞発表に合わせて3月3日まで上映期間を延長する。