観光関連の災害時対策学ぶ/県観光危機管理セミナー
危機時のコミュニケーションで/高松氏(JTB総研)、ウォルビーク氏が対談
県の観光危機管理モデル事業として行われている「沖縄観光危機管理コミュニケーションセミナー」が13日、市内のホテルで開かれ、同事業を受託しているJTB総合研究所観光危機管理研究室長の高松正人氏が講演した。また、観光危機管理の専門家として世界的に名高い、PATA(太平洋アジア観光協会)緊急タスクフォース会長のバート・ヴァン・ウォルビーク氏が来島し、高松氏と対談を繰り広げた。
セミナーには宮古のホテル、レンタカー、飲食、レジャーなど観光関連企業の代表者が参加し、危機発生時に取るべきコミュニケーションの方法を学んだ。
高松氏は気象災害発生時の危機管理コミュニケーションの全体像として、発生直後、当面の危機が収まった時、危機回復期、復興に向けての段階ごとに、観光業が取るべきコミュニケーションのあり方を説明した。
とりわけ、沖縄、宮古は観光関連業が主力産業となっているため、災害時のコミュニケーションのみならず、風評を最小限に抑え、復興に向けたプロセスでのコミュニケーションの必要性を講話した。
コミュニケーションの重要性について「どんな情報を、どこから、どうやって収集し、誰に対して、どのような方法で提供していくかということをあらかじめ具体化しておくことが、被災を最小限に食い止める方法だ」として、「責任者の明確化、デマに惑わされない透明性、三つのC、Clear(はっきりとした)、Concise(簡潔な)、Consistent(首尾一貫している)が鉄則である」と述べ、段階ごとに何を優先的に行うべきかを具体的に説明した。
情報を迅速、正確に伝えるためには、あらかじめコミュニケーション・テンプレート(ひな形)を作成しておき、効率よく伝達することなどの方法を説明した。また、災害復興期においては、風評被害を最小限に抑えるためのマスコミ対応などについても解説した。
同氏の講演後、対談が行われ、PATAのウォルビーク氏は各国の観光地災害復興に関わった経験をもとに、災害リスクを最小限に抑える方法を説明した。
ウォルビーク氏は「明和の大津波」(1771年)に学ぶ点は多いとして、「宮古で災害発生時に最も安全に避難すべき場所は歴史が教えてくれる」と述べ、歴史事実を考察しながら、防災対策を行うことの重要性を説いた。