警察官が勉強支援/宮古島署・池宮主任
「警察塾」開き健全育成/受験生7割が高校合格
「(補導された少年たちの)勉強を支援して、立ち直らせたい」。宮古島署生活安全課の池宮将貴少年係主任が、そんな思いで教えた少年の約7割が今春の高校受験に合格した。警察官が、問題行動を起こした少年の勉強を手ほどきするのは極めて異例。学生のころ、塾の講師を務めた経験を生かした。
勉強支援は、補導した少年の中に「高校合格はだめかも」と悩む少年たちがいたのがきっかけとなった。
塾代わりに使った場所は、警察署の会議室。声掛けをしたところ、昨年9月に一人訪れ、「警察塾」がスタートした。
塾のうわさは広がり、今年3月には20人程度に増えた。塾は週に4回開いた。
琉大の法文学部卒だが、英語は少し苦手という。英語の学習は、署員にも協力してもらった。
「子どもたちとは親、兄弟同様の気持ちで、接した」と池宮さん。信頼関係がしっかり築かれ、塾生の中から補導される子は一人も出なかった。
「言葉遣いが柔らかくなった」と喜ぶ親も。多くの子が「もう夜遊びはしていないよ」と言うぐらいになっていた。
高校に行くかどうか、分からないと言っていた子は、志望高校に見事に合格。「将来は短大に行きたい」と目標を持つまでに、成長していた。「(池宮さんとの出会いが)ターニングポイント(分岐点)になったと言われた。それが一番うれしかった」と、表情をほころばせた。
健全育成では、親子の関係が最も重要視される。「子どもともっと話して、悩みを聞いてあげられるくらいの関係を築いてほしい」と呼び掛けた。