博物館、知の宝庫に/館内の設備を拡充
一括交付金活用し改修
宮古島市総合博物館(下里典子館長)の館内設備改修事業が完了し、宮古の歴史、自然、文化に関する展示物が拡充された。伝統芸能などの動画が入った「ものしり博物館」をはじめ台風や地球温暖化の情報コーナー、御嶽や地下ダム、宮古上布といった宮古島特有の財産をデジタル化した映像コンテンツに余すことなく詰め込んだ。宮古島市の文化振興の拠点となる博物館が、新たな知の宝庫としてリニューアルされた。
今回の改修事業は沖縄振興特別推進交付金(一括交付金)を活用。1875万円の改修費を投じた。
博物館は今年で開館25年目を迎えるが、近年は音声案内機器の故障が相次いだほか、パネルの解説も開館当時のままで、「博物館としての役割を果たしているとは言えない」(同館)状況にあったという。
今回の改修事業では、特に情報の入れ替わりが激しい自然コーナーを中心に改修を進めた。また、館内で上映されていた映像資料を編集し、デジタル化することで、鮮明かつ貴重な映像の提供が可能になった。
改修で特に力を入れたのがものしり博物館だ。改修前は10インチだったスクリーンを60インチに大型化。常備されたマウスを使って宮古の伝統芸能や文化財、戦争遺跡を簡単に検索して学習することができる。動画85本を含めて宮古各地で受け継がれてきた歴史、伝統、文化の映像視聴も容易だ。
御嶽のコーナーは、宮古各地の御嶽を写真で確認できるように改修。「宮古の概要」は10年前のデータを使用していた人口や気候を2012年版に改めた。
「パーントゥ」のコーナーにはタッチパネルを設置した。平良島尻と上野野原の二つのパーントゥを映像で見ることができる。
台風・地球温暖化のコーナーも充実させた。パネルやタッチパネルを使用して台風の情報を詳細化し、来館者が気軽に学習できる環境を整えた。情報の内容は最新版に切り替え、2003年に宮古島に甚大な被害を及ぼした台風号の情報なども盛り込んだ。
地下ダムコーナーの精巧なジオラマは、地下の水がどのような工程を経て地上の畑に送られているのかを具体的にイメージできる。
宮古上布は映像で今と昔を解説。上布の歴史や織りの工程も一目で分かるように趣向を凝らした。
今回の改修について下里館長は「子どもからお年寄りまで誰もが楽しめる設備になった。観光客だけでなく地元の多くの子どもたちに宮古の歴史と文化を学んでほしい」と地元市民の来場を呼び掛けた。