漁獲高減少「当然ある」/日台漁業協定締結
水産庁の説明受け粟國組合長
日本と台湾が尖閣諸島周辺海域を対象とした漁業協定を締結したことを受け、宮古島漁協の粟國雅博組合長は12日、漁獲高の減少は「当然ある」と述べ、地元漁業者の同意を得ずに水域を決定した国を厳しく批判した。
漁業協定の名称は「漁業秩序の構築に関する取り決め」。尖閣を中心とした約4500平方キロを共同水域として設定。この水域内のほとんどは「法令適用除外水域」とされ、台湾漁船は日本側の取り締まりを受けずに操業が可能となる。
粟國組合長は、同日に宮古島漁協で水産庁の須藤徳之資源管理部長から同協定の説明を受けた後、マスコミの取材に応じた。
「うちの組合は10㌧を超える船は少なく5㌧未満が多い。外国船は100㌧級、5、400㌧級と聞いている。大きな船で何隻も船団を組まれると、いくらルールがあるとはいえ、割って入ってはいけない。怖いです」と語った。
同水域近くで操業する地元漁船は多く、粟國組合長は「狭い水域でたくさんの漁船がひしめき合う。今後は(操業を認められたという)建前を通し、これまで以上の船が押し寄せてくるだろう」と述べ、地元と台湾漁船との間にもめごとが起こることや、漁具の被害が出る可能性に強い懸念を示した。
「自国の領土で法令を適用しないわけだから、こちらにとってのメリットは乏しい」と述べ、台湾側に有利に働いた協定だと指摘。政府が漁獲高が減るなどの影響が出た場合は、漁業補償を検討していることについては「具体的に聞いていない。今後、関係機関と協力して取り組んでいきたい」と述べるにとどめた。
水産庁による説明は午後5時から約2時間にわたり非公開で行われ、粟國組合長ほか、池間漁協の長嶺巌組合長、伊良部漁協の久高明人理事の3人と県の担当者らが出席した。