日台漁業協定に反対/県議会
「安全と生活に打撃」/意見書を全会一致で可決
【那覇支社】県議会(喜納昌春議長)は18日、臨時会を招集し、今月10日に政府が台湾(中華民国)と締結した「日台漁業協定」に対して抗議し見直しを求める意見書を全会一致で可決した。意見書では「先島諸島を初めとする県内の漁業者にとって不利なもの。漁業者の安全操業と生活に大きな打撃を与え、到底許されるものではない」として、同協定の内容を厳しく批判している。
尖閣諸島領有権をめぐる中国、台湾との外交問題で、政府は尖閣諸島周辺水域を対象にした日本の排他的経済水域を台湾側に大幅譲渡する形での協定を締結した。これにより、台湾側が主張していた暫定執法線よりも広い水域での漁船操業を認めたことになり、宮古、八重山の漁業者および県内漁業関係者から強い不満の声が挙がっていた。同周辺水域は宮古、八重山の漁業者の好漁場で、県内漁業者が不利な立場に置かれ、安全操業にも支障を来す恐れがある。
同協定締結を重く見た県議会は、漁業者の安全操業と水産業全体に大きな打撃を与えることは必至だとして、同協定に抗議する内容の意見書の取りまとめ作業を行っていた。
同日の本会議では県議会会派の「そうぞう」が意見書ではなく「抗議決議」にすべきだとして退場した。会派代表の當間盛夫氏(那覇市区)は宮古毎日新聞社の取材に対し、「意見書そのものに反対するものではない。もっと強い抗議決議にすべきだと考える。この協定締結で県選出の与党国会議員や県政与党がどのような対応をしてきたのかはなはだ疑問だ」として、これまでの与党の態度に対し不満を示した。
宮古島市区選出の座喜味一幸氏(自民)は「沖縄の漁場が狭められることは大きな問題だ。協定締結で複雑な操業水域となるため、政府に対してはしっかりとした監視体制をとるよう努め、宮古、八重山の水産資源をしっかり確保できるよう求めていく」と話した。
また、同市区選出の奥平一夫氏(県民ネット)は「水産業者の権益を著しく犯すものであり、到底容認できるものではない。宮古、八重山の水産業者は職場を狭められるようなもので、トラブルの元になることを懸念している」と述べた。 同意見書は、首相、外相、農水相宛て提出する。
「暫定執法線」 尖閣諸島周辺の海域における日本と台湾の漁業権を示すものとして、台湾(中華民国)側が主張していた境界線。尖閣諸島周辺も台湾側に含み、日本の排他的経済水域を大幅に侵食した形になっている。