家庭教育の大切さ訴え/小・中学校長研修会
諸見里県教育長が講話
2013年度の臨時小・中学校長研修会が17日、宮古教育事務所で行われ、県教育委員会の諸見里明教育長が「家庭教育についての思うこと」の演題で講話した。諸見里教育長は、県内の児童生徒を取り巻く社会環境を紹介しながら家庭教育は県全体の問題として捉えて教育の現場から県民に訴えていくことを呼び掛けた。
講話では、教育環境(学習状況)調査で明らかになった基本的な生活習慣が身についていない沖縄の子どもの実態のほか、親の経済的な問題が大きく教育環境に影響していることも指摘した。
諸見里教育長は両親の所得状況や基本的な生活習慣(朝ご飯、遅刻等)と学力の問題は極めて有意に絡み合っていると指摘。全国平均の7割程度の所得しかなく、失業率も高いことが家庭教育にも影響していることを説明した。
また、県内で働く人の40・7%が非正規雇用で全国一高く、そのうち89・2%が年収200万円未満で生活しているとする総務省の調査の結果も報告した。
沖縄で非正規雇用として低賃金で労働を強いられている労働者の2人に1人は「15~34歳」で、これは幼少期の子どもを抱えている年代であり、その稼ぎが少ない中で「子どもの教育環境を整えてほしい」との要望も難しいことなども説明された。
こうした社会背景を踏まえて諸見里教育長は「沖縄における『家庭教育』の問題は県民全体の問題として議論する必要がある。私たち教師は家庭教育の大切さを県民に伝える必要があり、県民全体がこの問題を共有して取り組むことが大切」と訴えた。