水道水の有収率86%/年間94万8000㌧が漏水
12年度県内低水準90%目標
水道施設から家庭などに供給している水道水が、実際に使用されて収益金となった比率を示す「有収率」が、2012年度は86%だったことが宮古島市上下水道部(川満好信部長)のまとめでわかった。前年度に比べ若干向上したが県内では低水準となっている。年間で94万8862㌧が不明水量、いわゆる漏水と見られており、市の総合計画に示されている有収率90%台への向上が課題となっている。
有収率は、合併前の伊良部佐良浜地区で50%台と低水準だったことから、市水道局(当時)は水道水の安定供給と有収率向上を目指し給水管の切り替え工事などを実施した。
その結果、工事完了後の07年度には70%台に回復、12年度には83%台にまで向上した。
ただ、県内では90%台を維持している自治体が多く、10年度実績で見ると糸満市98%、宜野湾市と沖縄市が97%、那覇市96%など、都市部で高くなっている。
これについて市上下水道部は、家々が密集しており配水管の距離が短く漏水箇所が比較的発見しやすいことや、古い管の改修工事が進んでいることなどが要因ではないかと見ている。
同部では有収率を向上させるため、深夜に職員が水の音を耳で探知したり、特殊な器機を設置し漏水の早期発見に努めている。
しかし、漏水の度合いが大きければ音が大きく発見しやすいが「漏水音が小さい場合にはなかなか発見しにくい」(同部工務課)のが現状だ。
また、漏水箇所を修繕すると、水圧が一時的に高くなり、その影響で老朽化していた別の配水管に負荷がかかりそこから漏水することもあるという。
目に見えない地下に存在する配水管の漏水対策に頭を痛めているのが実情だが、同工務課では「まずは今年度目標の87%台を達成し、将来的には90%台に向上させ、それを維持していきたい」と話し、水道事業の安定経営につなげるためにも引き続き漏水対策を強化する方針だ。
ちなみに市の12年度水使用料(有収水量)は717万6665㌧で年々減少している。
同工務課ではその要因として①市民の間で水を大事に使うという習慣が培われている②飲料水を買って飲む人が増えた③農業用水が確保された―ことなどを挙げている。
市民一人当たりの1日平均使用料は362㍑で、ドラム缶(200㍑)に換算2本分に近い。