前里教諭(宮総実)最優秀賞/下中財団50周年記念表彰
地下水保全と農業研究評価
下中記念財団はこのほど、創立50周年記念表彰事業論文集を発表し、宮古総合実業高校(伊志嶺秀行校長)の前里和洋教諭の論文を最優秀賞に選考した。
前里教諭は「生徒中心に16年間継続してきた研究成果を論文にまとめた。約200人の生徒が地道な研究を継続してきたことが評価されたと思う。生徒たちを誇りに思う」と受賞の喜びを述べた。
同論文は「生徒自ら取り組む『課題研究』を通した地下水保全活動による環境教育の推進」と題し「宮古島の地下水を教育資源として水質研究による『有機肥料』の開発と『日本そば』を活用した環境保全活動」に焦点を当てている。
「地下水汚染の要因が農業に起因している。基幹産業の農業の活性化と地下水保全はある面、相反するところがこれまであった。農業の高校(旧農林高校)でありながら、地下水保全の問題を放置しておくわけにはいかない」と、前里教諭は考え、農業活性化と地下水保全の研究を生徒と共に始めた。
宮古島の飲料水に供される地下水の硝酸態窒素濃度が化学肥料由来で年々増加した。この危機的な状況に農業を学び将来、農業を志している宮古総合実業高校の課題研究専攻の生徒は「地下水保全型農業のあり方」について、考え取り組み始めた。
これを原点に土壌蓄積リンが再利用できる有機肥料「バイオ・リン」を開発した。また、サトウキビ収穫から植え付けまでの間の畑で、サトウキビ収穫後に残る化学肥料由来の窒素成分を吸収する日本そばの栽培も始まっている。
前里教諭は11月に県立博物館で行われる第16回日本水環境学会シンポジウムに生徒と共に参加し、地下水保全についての事例報告をする。