戦争語り部、年々少なく
学校 創意工夫で集会開く
6月23日の「慰霊の日」を前に、各学校では平和集会などが開かれているが、戦争の悲惨さを後世に伝える戦争体験者が年々少なくなっている。子どもたちにどう語り継ぎ、伝えていくか。
平良第一小学校では18日の平和集会で元教師の上地洋子さんを招いた。
戦時中、小学生だった上地さんは、当時の不自由だった学校の様子や、特攻な
どで子を失った母親の気持ちなどを代弁した。
上地さんは戦後68年になり、戦争が風化していくことに危機感を覚えるという。
「子どもたちが平和集会に参加し、そこで感じたことを家族に話し、戦争について一緒に考えるということが大事」と意義を話す。
同校の屋嘉比多恵子教諭は、「戦争体験者の生々しい話は迫力がある」と言う。
今回は「命」をテーマに集会を開いたが「戦争を体験していない人が命や平和の尊さを訴えるより、体験者が訴える方がより説得力があるのではないか」と話す。「喧嘩から始まるのが戦争。思いやりの心を育むことにもつなげたい」
学校では、体験者の生の声を子どもたちに聞いてもらおうと、地域のお年寄りたちに声を掛けるが「体調不良」や「記憶が薄れている」などを理由に辞退する人が多いという。語り部の確保が年々困難になっているのが実情だ。
上地さんは「戦争の話は尽きないが、当時の悲惨な状況を思い出したくないという人が多いのではないか」と推察する。
市教育委員会学校教育課の亀川昌彦課長は「語り部の減少は以前から指摘されている。今後は、育成や確保が必要になってくるだろう。行政が何らかの支援を行うことで、学校が取り組む平和学習のプログラムが広がっていける」と課題解決に前向き。学校側の取り組み状況を把握し、行政として何が出来るのかを模索したい考えだ。
上地さんは「現在の国際情勢をみると、日本は隣国と危うい状況にいる。大人として、戦争体験者として、また母親として戦争は絶対にだめだと訴えたい。講師の依頼があれば、積極的に参加したい」と話した。