反戦平和の思い新たに/「慰霊の日」
戦没者の冥福祈る/平良遺族会が追悼式
一般住民を含む20万人余の尊い命が奪われた沖縄戦の組織的な戦闘が終結して68年目となった23日、今年も県内各地で「慰霊の日」に伴う追悼式や慰霊祭が行われた。宮古島市や多良間村でも遺族や地域住民が夏の青空と強い日差しの下で戦闘で犠牲になった戦没者の冥福を祈りながら、反戦平和への思いを新たにした。
平良地域遺族会(川満俊夫会長)主催の第59回戦没者追悼式は、平良字下里(馬場)の慰霊之塔で行われた。
正午の時報に合わせて608柱の御霊に1分間の黙とうをささげた後、川満会長は「年月とともに遺族も高齢化し、国民の半数以上が戦争を知らない世代となった。それだけに戦争の悲惨さと平和の尊さを言い伝えて、語り継がなければならない。戦争の記憶が薄れようとしている今日、日本がたどった歴史を振り返り、平和を思うことは極めて重要。戦争の惨禍を再び繰り返さないことを切に願う」と語った。
追悼の言葉で下地敏彦市長は「戦後68年が経過し豊かな生活を享受している現在、あの忌まわしい戦争も人々の脳裏から次第に消え去ろうとしている。きょうの『慰霊の日』に当たり、悲惨な戦争体験を風化させることなく後世に伝え、平和で自然豊かな社会を築くことを誓う」と述べた。
そのほか、市議会の平良隆議長、県宮古事務所の安里肇所長(代読)も非戦への誓いを新たにするとともに、内外へ恒久平和を発信していく決意を示した。
川満会長によると、現在の遺族会会員は13人で高齢化が進み、ほとんどの人が追悼式に出席できないという。この日も川満会長の母親の川満キヨさん(89)のみが出席した。
キヨさんは夫・恵益さんを戦争で亡くした。「毎年、『慰霊の日』を迎える気持ちは口では言い表せない。寂しいと言うより悔しい気持ち。当時は国が国民を欺いていた。本当に二度とあの悲惨な戦争は起こってほしくない」と涙ながらに話した。