宮古の影響額は316億円/砂川理事長がTPPで講演
JAおきなわの砂川博紀理事長が10日の肉用牛生産者大会で講演し、環太平洋連携協定(TPP)に参加し、関税が撤廃された場合の沖縄農業に与える影響額(試算値)などを示した。宮古ではキビと肉用牛を中心に、直接影響額が億円、関連産業を含め316億円に上ると見込む。
サトウキビを原料とする砂糖は、関税が撤廃されると、すべて外国産に置き換わると予想。砂糖は品質で差別化できず、外国と価格競争に勝てないためだと、理由を説明した。
砂糖には1㌔当たり75円の関税を掛け、これを農家への交付金(1万6320円)に充てている。「交付金が無くなると、実際の価格(農家手取り)は、トン当たり5000円~6000円になり、この価格でキビは作れない」と、交付金が支えている実態を示した。
サトウキビの県内生産への直接影響額は、197億円を試算。粗糖・砂糖(376億5000万円)、貨物輸送(7億9000万円)、化学肥料(1億8000万円)など関連産業を含めた影響額は845億円になるという。
肉用牛も75%が、輸入牛肉と置き換わる。「A5、A4ランクの高級肉は残るものの、外国産と同程度の品質の肉が打撃を受けるのは必至」と見方を示した。
県内農林水産業への関税撤廃の直接影響額(試算値)は、キビ197億円、肉用牛106億円、水産物130億円、養豚79億円などを合わせ580億円に上った。
運動展開の考え方については①政府が交渉に参加した場合は米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物(キビ)など、重要品目の除外を実現するよう徹底した運動を展開する②重要品目の除外が実現できないと判断した場合は交渉脱退を政府・与党に求める③最終的に交渉が妥結に至り、その内容が国益を毀損しかねない事態に陥った場合は、国会における条約の批准等の否決を求める運動まで徹底して展開していく-などを示した。