「金型技術者の育成を」/ものづくり講演会
製造業振興で提言/沖縄産EV車の製作事例紹介
宮古島ものづくり講演会とパネルディスカッション(宮古島市、宮古島商工会議所、宮古青年会議所、宮古島工作倶楽部、沖縄県共催)が17日、県宮古合同庁舎で開催された。講師を務めたものづくりネットワーク沖縄の金城盛順理事長は、部品の金型を作れる人材を育成し、沖縄産EV車(電気自動車)製作に生かした事例を紹介。ものづくりが盛んな社会実現には、人材育成が根本的に重要になると強調した。
同講演は、宮古島で製作中の小型EV車のエコアイランド構想における意義付けや、宮古島でのものづくりの可能性を探る狙いで開催した。
講演で金城氏は沖縄の製造業比率が約3%と、全国の25%と比べて低い状況を指摘。理由には製造業を支える金型製作技術者が、県内に極めて少ないことを挙げた。
金型を作れる技術者の育成は現在、同ネットワークが担う。今後の課題には、金型技術者を育てる人材の確保を挙げた。
沖縄には優秀な工業系の若者が多く、金型などの生産環境が整えば、多くの企業が来ると展望した。
物流コストの高さが、製造業誘致のネックになっていたことに関しては、「ものづくりがアジアに移った中で、沖縄は中心に近い位置にある」と述べ、国際物流の面では有利になったと指摘。那覇空港のハブ化は、好材料との見方を示した。
宮古に関しては「5万5000人の人口だから、ものづくりは難しいと思わないでほしい。若者の夢を実現できる場所をつくることは大人の責任」とエールを送った。
パネルディスカッションは、宮古島工作倶楽部の濱元雅浩理事をコーディネーターに行った。
金城氏は「ものづくりはEVだけでなく、住民の望むものを探し手掛ける必要がある」と今後を展望。安里肇県宮古事務所長は「宮古島ではすごいエコ実証事業が動いている。これをEVにつながない手はない」と宮古島でのEV製作の成功に期待を込めた。
大金修一市エコアイランド推進課長は「エコアイランドのブランディングイメージの中で、EVを考えていきたい」と述べた。同倶楽部の下地隆之理事は「ものづくりは、みんなでアイデアを出しながら産官学の連携で取り組むことが大事」と、輪の広がりを訴えた。
会の冒頭で講演した大金課長は、環境モデル都市の取り組みについて「経済発展と低炭素化の両立」をキーワードに進めていることを説明した。
金型 製品を量産するために作られる金属製の型の総称