伊良部大橋100年耐用へ
塩害実験をクリア/技術確立連絡会議開く
塩害が顕著な沖縄の環境下で橋を100年使い続けるための技術確立を目指すプロジェクトチームの第5回連絡会議が24日、県宮古合同庁舎で開催された。同会は土木研究所(つくば市)や琉球大学、県建設技術センター、県各部署の職員らで構成。会議では、塩分が橋の劣化に及ぼす影響や、伊良部大橋に使うフライアッシュ(石炭灰)混合コンクリートの耐用試験結果などが報告された。
橋を長持ちさせるためには、コンクリートに海水が染み込みにくくする工夫や、コンクリートのひび割れを防ぐ工夫などが必要になる。コンクリートにひび割れが発生すると、海水などが染み込んで鉄筋をさびさせ、膨張した鉄筋がコンクリートを砕くという。同会は、橋を長持ちさせる技術条件クリアを目的に発足した。
海水の塩分は徐々にコンクリートに浸透し、表面から9~10㌢の所にある鉄筋周辺に一定以上の塩分が入ると鉄筋がさびる。大橋に使うフライアッシュコンクリートの塊を5年間、海のしぶきにさらした暴露実験によると、ひび割れはなく順調な結果。大橋の100年後の塩分濃度を計算したところ、「腐食発生限界値」まではいかず、頑丈さが明らかになった。
メンテナンスに関しては、こまめな調査で劣化状況を確認し、早めに修繕することで費用が安くつくと強調した。
伊良部大橋の2012年度末までの発注額は340億円となり、総事業費(380億円)ベースの進ちょく率は89%に達した。開通は15年1月を予定している。
下里和彦宮古土木事務所長は、台風7号接近に際し、交通事故に遭った少年を伊良部から海上保安署の巡視船で、宮古島に搬送した離島苦の事例を憂慮。これを受け「一日も早く大橋を完成させたい思いに駆られた」と話した。