「心癒やす」保養の継続確認/「福島の今」座談会
避難家族、窮状訴え/参加市民と絆深める
「人のつながり、支えに感謝したい」「福島に希望の光を」-。福島県の家族の保養を目的とする「うむい宮古島保養プロジェクト満月」で来島している同県の家族が27日午後、宮古バプテスト教会内で開かれた座談会「福島の今」に参加し、原発事故後の窮状を訴えた。放射能の恐怖と子育てに対する不安を赤裸々に語り、保養の意義と必要性を強調した。参加した市民は原発事故に苦しむ家族の悲痛な声に耳を傾け、保養プロジェクトを通してつないだ絆を確かめた。
同プロジェクトでは、東日本大震災の発生に伴う福島県内の原発事故で苦しんでいる8家族が宮古島に招かれている。
座談会では、はじめにプロジェクト実行委員会の委員長を務める下地昌伸さんが「福島がどういう状況にあるのか、私たちは学ぶ必要があると思う。そしてこの宮古島で私たちに何ができるのか、皆さんと一緒に考えたい」と話した。
この後、参加した福島の家族がそれぞれの思いをストレートに表現した。
はじめに全家族を代表して佐々木るりさんが、原発事故に翻弄される日々を振り返り、「生活は困難を極めている」と話した。「水やお米、野菜は大丈夫なのだろうか、窓は開けていいのだろうか。そんなことばかりを考えてしまう」と声を詰まらせた。
その上で保養の重要性を指摘。「放射能の影響を受けたとしても、きれいなところで活動すれば子どもの細胞は入れ替わるので年間2カ月は保養させたい」と支援を求めた。また「保養は子どもだけじゃなくて大人にも必要。大人にとっては心の保養になる。放射能で疲れた親の心を癒やしてくれる」と話した。
宮古島での保養については「子どもだけじゃなくてお父さん、お母さんが一緒に参加できる保養に感謝したい。家族みんなで共有できる時間ほど素晴らしいものはない」と話し、継続に期待を込めた。
放射能から逃れるために今は青森県で生活している43歳女性は「主人と離れて暮らしている状況が子どもにとって良いことなのか思い悩む」と明かす。「(福島に)残るのも苦しいし避難するのも苦しい。どうすればいいのか答えが見つからない」と語った。
今回の保養について「人に支えられていることを強く感じた。皆さんの歓迎を受けて泣くだけ泣いて思い切り笑った。いつか必ず心の花を咲かせます」と声を振り絞った。
37歳の女性は「宮古島で子どもが外で元気よく遊ぶ姿を見て、やっぱり子どもはこうあるべきだなと痛感した。皆さんの温かい気持ちを持ち帰りたい。感謝しています」と話した。42歳の男性は「子ども本来の姿がここにはある。久しぶりにそんな姿を見ることができました」と感謝した。
参加市民は生の声を通して福島の現状を知り、保養プロジェクトの意義と必要性について認識を深めた。