幸せな時間をありがとう/福島の8家族
宮古保養を終え帰路に
「うむい宮古島保養プロジェクト満月」で来島していた福島県の8家族が29日午前、帰路に着いた。出発前の空港では、宮古島の受け入れ家族らプロジェクトのメンバーと最後の時間を過ごして涙した。「幸せをありがとう」-。何度も繰り返し、感謝を込めた。
福島の原発事故に苦しむ8家族は24日から5泊6日の日程で宮古入りした。この間、放射能におびえる必要がない宮古島で海水浴や地域住民との交流会、座談会などに参加し、家族で穏やかな時間を過ごした。
宮古島最後の日。8家族は午前8時に宮古空港に集まった。プロジェクトの実行委員長を務めた下地昌伸さんはおえつしながら短い言葉に思いを込めた。「福島に戻ればつらい現実があると思う。だけど、ここ宮古島も現実の場所です。また必ず会いましょう」と語り掛け、保養プロジェクトの継続を約束した。
この言葉に、福島の家族はせきを切ったように涙した。佐々木るりさんは「ここは私たちの第2の故郷になりました。また帰って来させてください」と声を詰まらせた。「幸せな時間をありがとう」と結んだ。
8時30分すぎから搭乗待合室に入室。保安検査場入り口では宮古の家族との別れを惜しんだ。福島の家族は「行ってきます」と繰り返して出発、宮古島のメンバーとつないだ絆を再確認して再会を誓い合った。
見送った下地さんは「保養プロジェクトはあっという間の時間だった。福島の家族と関係を深めることができたと思う。活動をさらに広げたい」と決意した。