農家に6割支払い/コーラル社未払い金
市の補助で631万円
アロエベラジュースなどを製造、販売する第3セクター、コーラル・ベジタブル(本社・下地川満、社長・下地敏彦市長)は12日、アロエベラ生産農家に対する未払い金を支払った。対象農家は27戸で、昨年11月~今年3月までの原料代金1052万円の6割631万円。市からの支援補助金で支払った。残りの4割について同社は「来年3月までには支払えるよう経営努力をしたい」と述べた。
同社は、宮古島市などが出資しているが、約1億2000万円の累積赤字を抱える厳しい経営状況が続いている。
農家への未払い金を巡っては、市が経営の立て直しを図るため、同社への支援補助金3000万円を予算化し市議会6月定例会に提案した。
議会では「これまでも経営立て直しについて議論されてきたが一向に改善されていない。そのような状態で支援補助金を単費で出すことは認めることはできない」とした反対意見と、「農業振興、原料を出荷している農家のことを考えると閉鎖するわけにはいかない。支援補助金を有効に活用し経営改善を図るべき」などの賛成意見に分かれた。
本会議での採決の結果、与党などの賛成多数で原案通り可決された。
今回の未払い金の支払いは下地市長が「旧盆までには間に合わせたい」と述べていたことを受けたもので、振込で支払われた。
同社の真栄城忠之専務は13日、本紙の取材に「市からの補助金は使途が決められており、農家の皆さんには公平に速やかに丁寧に支払った」と述べ、残りの4割については来年3月までに支払う方針を示した。
宮古島アロエベラ生産組合の砂川肇組合長は「会社に対して農家から不平不満もあったが、6割とはいえ支払いがされてほっとしている。今後は、契約通りにしっかりと支払ってほしい。旧盆を迎える費用の一助になる」と話した。
市からの支援補助は生産農家への未払い金6割のほか▽借入金(860万円)の4割の支払い▽社員などへの給与及び賃金未払い金の支払い-で、残りは原料の仕入れや発送、販売、商品開発などの運転資金に充てる計画。
同補助金は市の一般財源から支出されており、一部の市民からは「補助金の使途には納得できない」との声もあるが、下地市長は「(コーラル・ベジタブルは)旧下地町が農業振興のために作った施設を宮古島市が引き継いでいる。しっかりと育てるのは合併した宮古島市の責任である」と話している。